「無意味化」技術の模式図(図表提供:ZenmuTech)

「無意味化」技術により機密性の高いデータを安全に管理する独自サービスを提供するZenmuTech(ゼンムテック)と国立研究開発法人・産業技術総合研究所(産総研)はこのほど、データを無意味化したまま演算処理できる「秘匿計算技術」の実用化に向けた共同開発を始めたと発表した。

「無意味化」は、元データを意味のないデータに変換・分割して分散管理し、全ての分散片がそろわないと復元できない状態にする技術。分散片(約2KB)をUSBメモリやスマートフォンなどに保管することで、パスワード管理する従来の「暗号化」よりも大幅に機密性を高めることができ、万一PCを紛失しても分散片がなければ原データを復元できず、情報漏えいする可能性がない。

機密性の高いデータを扱う各業界の研究開発部門、医療現場、法務関連企業、社外にPCを持ち出すことの多い事業部門などで採用が増えているという。
 
これまで秘密分散技術では、実際に情報処理を行う際は元データに復号する必要があった。新たに開発する「秘匿計算技術」を使えば、データを復号することなく処理可能となる。この技術が実用化すれば、異なる企業が管理する購買履歴や行動履歴からマーケット分析を行ったり、医療分野において個人情報を秘匿化したまま診断を行う、など複数の所有者が存在する膨大なデータをプライバシーやセキュリティを確保しながら相互利活用できるようになる。

同研究所情報技術研究部門・高機能暗号研究グループ長の花岡悟一郎氏は「すでに要素技術の事業化に成功しているZenmuTechと協働することにより、『秘匿計算技術』を理論検証フェーズから実用化に至らしめることを目指す」としている。両者は1年後の実用化をめざす。

■ニュースリリースはこちら
https://www.zenmutech.com/information/news/newsrelease-20181016

(了)

リスク対策.com:峰田 慎二