企業業績の好調が続いている。上場企業の2018年9月中間決算は、堅調な世界景気を追い風に、電機や自動車、化学などの各メーカーが増収増益。純利益で過去最高を更新する企業も相次いだ。ただし、米中貿易摩擦の激化を背景に、先行きには慎重な見方も広がる。19年3月期業績予想では利益拡大ペースが鈍化する見通しだ。

 ◇構造改革が奏功
 時事通信社が8日までに決算を発表した東証1部上場973社(全体の74.6%、金融を除く)を対象に集計したところ、9月中間連結純利益は前年同期比10.7%増となった。
 「経営改善に取り組んできた結果だ」。ソニーの十時裕樹最高財務責任者(CFO)は好業績の要因をこう語った。同社の連結純利益は88.7%増の3994億円と2年連続で過去最高を更新。事業の選択と集中を進め、収益の柱に育ったゲーム事業が利益を押し上げた。欧州の鉄道事業に加え、情報システム事業がけん引した日立製作所も最高益を達成した。
 トヨタ自動車は欧州やアジアで販売を伸ばし、連結純利益は16.0%増の1兆2423億円と2年連続の増益。連結売上高は3.4%増の14兆6740億円と過去最高を塗り替えた。ホンダも二輪車販売の好調で、純利益が過去最高を記録した。
 化学メーカー大手は市況の回復と自動車向け樹脂製品の販売拡大で、連結純利益で最高益が相次いだ。三井化学の久保雅晴副社長は「自動車の軽量化のため、部品を鉄からプラスチックに替える動きが進んでおり、販売数量は伸びている」と手応えを語る。
 ◇米中貿易摩擦に警戒感
 好決算の中、先行きに暗い影を落としているのが米中貿易摩擦だ。空調機器大手のダイキン工業は米子会社で中国製部品を使用しており、「(米国の中国への制裁関税で)大きなコストアップの影響を受けている」(十河政則社長)という。
 マツダは中国での販売台数が11%減。藤本哲也常務執行役員は「買い控えもあり、需要が減速した。販売環境が極めて悪化している」と懸念する。伊藤忠商事の鉢村剛CFOは「19年以降、景気がスローダウンすることを前提に考えるべきだ」との見方を示す。
 原油など原燃料価格の上昇も収益を圧迫しそうだ。日本郵船では4~9月期の燃料油価格が前年同期に比べ3割上昇。宮本教子常務経営委員は「18年度下期にも一段の上昇を見込んでおり、損益悪化の要因となる」と警戒する。
 西日本豪雨や北海道地震、大型台風の影響も小さくない。マツダは工場の操業を一時停止したこともあり、利益が約180億円押し下げられた。ANAホールディングスは、北海道地震と台風21号の影響で国内線旅客収入が減少した。
 時事通信社の集計では、通期純利益の増益率は0.2%と、前年同期の11.8%に比べ急減速する見通し。野村証券の伊藤高志エクイティ・マーケット・ストラテジストは「今後は米中貿易摩擦と中国経済の動向が鍵を握る」と指摘している。

 ◇米中貿易摩擦への見方
日本電産   永守重信会長     米中貿易摩擦はしばらく続く。楽観はしていない
三菱電機   皮籠石斉常務     設備投資に顧客が慎重になっている
ダイキン工業 十河政則社長     (対中制裁関税で)大きなコストアップの影響を受けている
マ ツ ダ  藤本哲也常務執行役員 需要が減速。販売環境が極めて悪化している
日立建機   桂山哲夫専務     中国経済が腰折れしないか、慎重に見ていきたい
新日鉄住金  宮本勝弘副社長    影響が大きいのは中国で、今後の動きを注視
伊藤忠商事  鉢村剛CFO     19年以降、景気のスローダウン前提に考えるべきだ
兼   松  谷川薫社長      下期に日本経済が好調を保てるか、やや不安
(了)
〔写真説明〕ソニーの2018年9月中間決算について説明する十時裕樹最高財務責任者=10月30日午後、東京都

(ニュース提供元:時事通信社)