ダウンの特性を知り、天気で使い分ける!

このように動かない空気層を作り、暖かくする性質のダウンですが、一つ大きな弱点があります。それは、水にとても弱い、ということです。

鳥は身震いすることで、水分を散らすことができますが、人は、それができません。また、鳥は羽根の油分で水を弾いています。製品化されたダウンにも、油分が適度には入っているのですが、油が多いと臭ってくるので、適度以上は汚れとして除去されています。

だから、鳥が通常身につけている状態ほど水に強くありません。そんなわけで、水に濡れると羽根はしぼんでしまい、動かない空気層をつくれなくなるので、全く暖かくない服になってしまうのです。

いまだにテレビのニュースキャスターの方が、雪の日に分厚いダウンジャケットを着込んで傘もささずに「寒いです」と報道されている場面があります。でも、水分をダウンに含ませている状態では寒いのは当たり前。「その服だから・・・」とつい思ってしまうのです。

おまけですが、ダウンをお洗濯しすぎてしまうと、この適度な油分まで落としてしまい、ダウンの性能を下げてしまいます。このため、油を落としすぎない専用洗剤が推奨されています。

では、風が強い場合はどうでしょう。
表生地の防風性能にもよるのですが、一般的にはダウンがしぼんでしまいがち。これはダウンを包み込む表面の生地から冷たい風を受けると、ダウンの中の空気が動いてしまい、断熱材ではなくなるからです。

つまりダウンジャケットは、気温の低い季節のなかでも、晴れや風の弱い日に着ると暖かいですが、雪や雨そして強風の日は、ダウンジャケットだけでは足りません。その上に防風や透湿防水素材の服が必要になるのです。