【インシデント・コマンド・システム5つの機能】

 

上の図をご覧いただきたい。これがICSの基本的な組織構造である。インシデント・コマンダー(現場指揮官あるいはチームリーダー)をトップにオペレーション・セクション(実行部あるいは運用部)ロジスティクス・セクション、(後方支援部あるいは兵站部)、プランニング・セクション(計画情報部)、そしてファイナンス・アドミニストレーション・セクション(財務・総務部)というスタッフで構成される。 

ICSの説明をするときにいつも引用するのが工具箱の話で、必ずしも全ての機能を各人に振り分けるということではなくて、事案に応じて必要な工具を必要なだけ取り出して作業にあたればよい。例えば交通事故に対応している警察官は一人で現場指揮官の機能、実行部の機能を兼任しているかもしれない。このように組織は事案規模に応じていかようにも拡大縮小できる柔軟な体制であるということだ。 

通常市民レベルのCFRまたはCERTではチームリーダー以下、実行部、後方支援部、計画情報部の4つの機能で対応することになる。

【インシデント・コマンダー(チームリーダー)の役割】

具体的な活動内容を決める決定権者(リーダー)。

・災害対応にあたっての統括的なリーダーシップを提供する。
・安全管理を徹底する。
・災害対応の目的を明確にする。
・指揮権を委譲するまでの間各機能の責任者となる。
・情報を内部および外部に提供する。
・組織間連携のリエゾンを確立する(他の自主防災組織、ボランティア、警察、消防、土木などの組織)。
・指揮権を委譲した後の新たな指揮官の指揮下に入る。

【オペレーション・セクション(実行部)の役割】 

※下図参照 

リーダーが決めた事項を遂行する(ドゥアラー:やる人)。

・ 現場で実行される全ての戦術的な実務を行う(消火班、捜索救助班、救護班)。
・ 最初に任命される機能部署である。

【プランニング・セクション(計画・情報部)の役割】

現場で発生している状況を収集・編集・まとめる(シンカー:考える人)。

・ 資源のステータスをトラッキングする(何人のCFRまたはCERTメンバーが対応しているか?など)。
・ 事態のステータスをトラッキングする。
・ チームの活動方針をまとめる。
・ 活動の選択肢を検討する。
・ 書面化する。

【ロジスティックスセクション・(後方支援部)の役割】

現場に必要なヒト・モノを調達(ゲッター:得る人)。

・ コミュニケーション手段の提供(無線機、ラジオなど)。
・ CFRまたはCERTの為の食料や医薬品の提供。
・ 施設や物資の管理。

【ファイナンス・アドミニストレーション・セクション(財務・総務部)の役割】

必要経費を管理(レコーダー:記録する人)。

・ 外注する契約に対する管理。
・ 時間管理。
・ コスト分析。
・ 財産に対する損失の補償。
※一般的にCFRまたはCERTレベルでは限られた役割のみである。


しっかりとした(一元化された)指揮命令系統を保つことにより、災害対応に従事するチームの安全を守り、要救助者に対する活動をコントロールされたものにすることが可能となる。また、事前に決められたメンバーの集結拠点の隣接した場所に現場指揮所を設定し、そこに最初に到着したものが現場指揮を執り、適時、適任者が現場へ到着したら指揮権を委譲していく。各機能別セクションにもリーダーを置き、メンバーの活動状況を把握し報告を受ける任務を司る。 

このように市民レベルまたは事業所レベルによる災害対応チームを作る時にもICSの概念を用いたチームビルディングが有効なのである。

(後編へつづく)

参考文献:
•COMMUNITY EMERGENCY RESPONSE TEAM. Basic Training Instructor Guide
.FEMA.DHS
•消防業務エッセンシャルズ第6改訂版日本語版
•晃洋書房「3.11以後の日本の危機管理を問う」(神奈川大学法学研究所業書)務台俊介著・小池貞利著・熊丸由布治著・レオ・ボスナー著


(了)