2016/05/03
おかしくないか? 日本の防災対策
4 避難の基本的な流れ
都内の自治体の多くでは、震災時に避難が必要となった場合、まず地域ごとに「一時集合場所」に集まり、その後、指定された「小中学校の体育館へ避難」することとしています。もちろん、避難する必要がない方は、避難所には行かないで、自宅で留まることとなっています。
しかし、「震災時に避難しない」ことを強調している自治体は、残念ながらほとんどありません。このため、「地震発生⇒火災発生⇒避難」が一般常識化されている現況にあります。また、多額の予算を講じて、避難所における備蓄の整備、火災発生を前提にした防災訓練、避難所運営マニュアル作成と自主防災組織の育成等を行っています。
私は、こうした対策を実施するよりも、まずは、「地震が発生しても避難所へ行かない」ための普及啓発を行うことの方が、重要であると考えています。
参考までに、私の住む大田区の避難の基本的な流れは、次のように記載しています。
○震災発生直後は、まず、自らや家族の安全を確保した後に、地域の初期消火、安否確認及び救出救護等の防災活動を行います。
○避難行動や防災活動を行う際には、集団行動が必要となるため、適宜、一時集合場所等を活用します。
○家屋の倒壊や焼失によって自宅で生活できない場合は、避難所で応急的な避難生活を行います。自宅で生活が可能な場合は、自宅で生活することが原則です。
○火災の発生や火災が燃え広がる恐れがある場合は、その地域から一時的に近隣地域の安全な場所(公園および学校等)に避難し危険を回避します。
○火災が大規模に延焼拡大し、その周辺にも危険が迫る場合は、広域の避難場所に避難します。
(出典:大田区わがまち防災計画/平成23年3月)
5 避難しないための対策
震災が発生した際、自らの生命と家族の安全が確認され、自宅や事業所が倒壊せず、火災で全半焼しない限り、近くの小中学校などの避難所へ行く必要はありません。ただし、台風や洪水被害が懸念され避難勧告が出された場合は速やかに避難すべきです。
このため、自宅では建物の耐震化、家具の転倒防止やガラスの飛散防止など、家庭内の安全対策を講じるとともに、各家庭や事業所では、少なくとも3日分の水や食料等を備蓄しておくことなど、「避難しなくても良い環境」事前にを、整備しておくことが重要です(以下参照)。
また、万一火災が発生したら、近隣の人の協力を得て、初期段階での消火活動を行う「近助」が求められています。
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