これまで、多くの企業の震災対策訓練は、「地震発生⇒火災発生⇒初期消火⇒建物外への避難」が多かったと思います。しかし、建物倒壊や火災発生がなければ、建物内に留まり「むやみに移動しない」ことが、震災時の原則です。このため、「地震発生⇒火災発生の有無の確認⇒建物内に留まる」という一連の流れについて、訓練を実施し、短時間で実施できる体制を整えておくことが重要ですが、そうなっている企業は極めて少ないのではないでしょうか。そこで今号は、震災直後の対応と「情報の共有化と情報トリアージ」について、番外編としてお届けします。なお、次号は「企業よ、無駄な備蓄をするな」です。

編集部注:この記事は「リスク対策.com」本誌2014年7月25日号(Vol.44)掲載の連載を、Web記事として再掲したものです。(2016年5月24日)

1 震災直後の対応が、訓練でできたか? 
震災発生直後の流れについて訓練(表1)してみると、ほとんどの企業や施設でできませんでした。これは、BCPや対応マニュアルができているところにおいても、同様の結果でした。 

できなかった訓練項目とその内容について、表2にまとめましたので参照ください。 

震災直後は、停電、通信不通、上下水道の停止、エレベーターの停止、空調・冷暖房の停止、各種システムのダウン、公共交通機関の停止や、主要道路は緊急車両以外の通行禁止などの状況になります。 

こうしたことを十分想定し、対応策を検討しておく必要があり、特に初動期の対応については、チェックリストをあらかじめ策定しておくことが重要です。

2 情報はどのようにして把握するか
(1)ラジオからの収集 
震災が起きると、必要な情報がなかなか入ってきません。電気が使えない場合、ラジオから地震等の情報を入手することとなりますが、はじめは、通信手段が通じている比較的被害の少ない地域の被害情報であり、次の新たな情報が入らない場合は、同じ情報が繰り返し放送されます。また、被害の大きいところほど情報が入らないものと考え、あらかじめ必要な対策を講じておく必要があります。

(2)建物内にいる従業員等の安否確認 
建物内にいる来客者や従業員等の安否を短時間で行うためには、次の事項をあらかじめ定めておくことが重要です。原則として、安否報告はフロア別や室別の安否確認責任者が本部に報告するシステムとします。

①フロア別・室別に、安否確認責任者と不在時の代行者を定めておく
②責任者が大きな声で、一人ひとり声掛けし、返答状況を確認する
③負傷者がいる場合、必要な応急措置を行うとともに、直ちに対策本部へ報告する
④対策本部への報告事項を決めておく
⑤対策本部へ声を出して安否状況を報告し、集計表に記載する(またはメモを貼付する)
⑥フロア別・室別の集計表を用意しておく