2019/02/01
ワールド ファイアーファイターズ:世界の消防新事情
●消防士としての心構え
ニューヨーク市消防学校では、入校日のオリエンテーションで、次のような内容を話す。
「君たちが消防士になるということはそれぞれの人生にとって、とても大きな決断であり、いずれ、この仕事に就いたことがいかに素晴らしいかを実感するだろう。
今、君たちの座っているいすには過去に何万名もの消防士たちが同じように座っていた。 その中には、立派な消防士となったが、残念ながら、現場で殉職したり、もう、この世にいない人たちもいる。
周り座っている仲間を見渡してほしい。君たちは今日から、何十年もニューヨーク市の消防士として、住民を守り続ける同志であり、配属された消防署で生活を共にする兄弟や家族である。
これから消防学校で行われる数々の厳しい訓練を乗り越えた者だけがニューヨークの消防士として活躍することができるが、常に自らを育て、仲間を助け、人々の命を守り続けるために消防士としての心を育み、自分の人生を捧げるという消防士としての人生を選択するのは君たち自身である」。
そして、消防学校での訓練教育内容は、それぞれの消防士の力をどこまで最大限に引き出せるか?また、現場で必要な知識や技術をどれだけ深く理解させて、安全に実践できるかを一挙手一投足までチェックし、十分に指導し、課題を与えた後に評価し、個々の改善点を具体的に指摘して、その場その場で着実に成長させていく。
その中で、外部講師として現場で活躍する消防士たちが訪れて話す、困難な活動事例や危険な現場でのさまざまな心を動かした出来事については、初任科生たちが最も熱く「消防魂」という消防士としての心構えを学ぶ時間で有る。
その内容は多種多様な災害現場活動におけるテクニック的なことから、市の条例等の守るべき法律やルール、自分たちの帰りを待つ家族のことまでを思い思いに話し、初任科生たちも目を輝かせて聴くと同時に質疑応答にも答えてくれる。
一番、心に残る言葉は「住民の生命・身体・財産・生活を守ると同時に自分たちも同じく、消防士としての生命・身体・財産・生活をきちんと守ることができて、はじめて消防士として、その使命を全うすることができる」という内容である。
そのためには、非番日にいかに家族と大切な時間を過ごし、自分を支えてくれる家族のために、当務日の消防活動を終えたら、必ず、無事に家に帰ることをゴールにして、何年経っても消防士としての新しい毎日を迎えることができる、仲間への感謝の気持ちにも繋がっていく。
- keyword
- ワールドファイアーファイターズ
- 消防
- 消防士
- ニューヨーク
ワールド ファイアーファイターズ:世界の消防新事情の他の記事
おすすめ記事
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月16日配信アーカイブ】
【4月16日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:熊本地震におけるBCP
2024/04/16
-
調達先の分散化で製造停止を回避
2018年の西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県倉敷市真備町。オフィス家具を製造するホリグチは真備町内でも高台に立地するため、工場と事務所は無事だった。しかし通信と物流がストップ。事業を続けるため工夫を重ねた。その後、被災経験から保険を見直し、調達先も分散化。おかげで2023年5月には調達先で事故が起き仕入れがストップするも、代替先からの仕入れで解決した。
2024/04/16
-
工場が吹き飛ぶ爆発被害からの再起動
2018年の西日本豪雨で隣接するアルミ工場が爆発し、施設の一部が吹き飛ぶなど壊滅的な被害を受けた川上鉄工所。新たな設備の調達に苦労するも、8カ月後に工場の再稼働を果たす。その後、BCPの策定に取り組んだ。事業継続で最大の障害は金属の加温設備。浸水したら工場はストップする。同社は対策に動き出している。
2024/04/15
-
動きやすい対策本部のディテールを随所に
1971年にから、、50年以上にわたり首都圏の流通を支えてきた東京流通センター。物流の要としての機能だけではなく、オフィスビルやイベントホールも備える。2017年、2023年には免震装置を導入した最新の物流ビルを竣工。同社は防災対策だけではなく、BCMにも力を入れている。
2024/04/12
-
民間企業の強みを発揮し3日でアプリ開発
1月7日、SAPジャパンに能登半島地震の災害支援の依頼が届いた。石川県庁が避難所の状況を把握するため、最前線で活動していた自衛隊やDMAT(災害派遣医療チーム)の持つ避難所データを統合する依頼だった。状況が切迫するなか、同社は3日でアプリケーションを開発した。
2024/04/11
-
-
組織ごとにバラバラなフォーマットを統一
1月3日、サイボウズの災害支援チームリーダーである柴田哲史氏のもとに、内閣府特命担当の自見英子大臣から連絡が入った。能登半島地震で被害を受けた石川県庁へのIT支援要請だった。同社は自衛隊が集めた孤立集落や避難所の情報を集約・整理し、効率的な物資輸送をサポートするシステムを提供。避難者を支援する介護支援者の管理にも力を貸した。
2024/04/10
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月9日配信アーカイブ】
【4月9日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:安全配慮義務
2024/04/09
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方