まず、なぜ災害時の乳幼児栄養法への理解が重要かというと、災害により、従来の保健医療ケアのシステムが追いつかなくなります。水がない、衛生状態も悪化、接触する人が増える事で感染症の危険も高まるのが災害時です。そんな中で、乳幼児の疾病率と死亡率があがることがわかっています。赤ちゃんの命にかかわる主なリスクは下痢なのです。

この時、母乳をあげ続けることが重要視されるのは、なぜでしょう?母乳にしか含まれない成分が存在するからと本郷さんはおっしゃいます。

衛生状態が確立されている日常と異なり、災害時、赤ちゃんを感染症や下痢から守るために、母乳だけに入っている抗ウィルス成分、抗寄生虫物質、抗ガン物質、抗アレルギー成分、抗体がとても重要になってきます。

たったティースプーン1杯で、菌を殺す成分が300万と言われています。

たったティースプーン1杯の母乳!それをあげるだけでも効果があるのであれば、母乳とミルクを併用している混合育児の母親にとっても、自分が赤ちゃんのために役に立つのだと実感できるうれしい事実ですので、希望になります。

反面、母乳を飲むことができない赤ちゃんは、感染症や下痢の危険から最も優先的に守ってあげなければいけない存在になります。安全に乳児用ミルクをあげられる環境づくりが必要になります。

ですので、母乳をほんの少しだけでも与えられる環境づくりを最大限重視したうえでの、ミルクが安全に与えられる場の確保、この優先順位を明記した2本立てが国際基準であることをまずは理解してください。