写真を拡大 資料作成者:三宮理恵子さん

この図では、WHOコードを法制化している国は、色付けされています。白色が法制化されていない国です。

賛同しているのに違反した場合は、どのような事が起こるかについては、また、のちほど書く事にして、もう少し、WHOコードの中身を見ていきます。

   

第7条4項
保健医療従事者は、妊娠中の女性、乳幼児の母親やその家族に乳児用ミルクの試供品を渡さない(要約)
第5条1項
乳児用ミルク、哺乳びんや人工乳首を一般消費者に宣伝・販売促進をしない(要約)
第5条2項3項
製造業者・流通業者は、妊娠中の女性や母親、その家族に、試供品の提供や無料もしくは低価格(割引クーポンや特売など)で提供しない(要約)

試供品をわたすのもNG ですし、宣伝や販売促進もできません。クーポンを家族にわたすこともNGとなっており、国際規準では母乳代用品のマーケティングに対し、厳しい規定を設けています。

そして、

第11条3項
製造業者も流通業者も、政府が実施のための行動をとっていないかどうかにかかわらず、国際規準に従う(要約)

製造業者だけでなく、流通業者にも、政府が行動をとらなかったとしても規準に従うことを求めています。なかなか厳しい規定ですよね。それだけでなく、

第6条2項
保健医療システム(注:例えば母親学級や保育所も含む)は、製品の販売促進に利用されてはならない(要約)

保育所や母親学級に対しても、販売促進に利用されてはならないという規定があります。なぜかというと、国際規準における「保健医療システム」とは、「政府、NGOや民間の運営する施設もしくは団体で、母親、乳児、妊娠中の女性の健康管理に直接、間接にかかわるもの。保育所や児童施設も含まれる。また個人開業の保健医療従事者も含む」とあります。そして、保健医療従事者とは、「保健医療システムにかかわって働く人を意味する。専門家、非専門家を問わず、また無給のボランティアを含む」とあります。そのため、赤ちゃんやお母さんの健康を守るためのボランティアもこの国際規準の定義では保健医療従事者、ですし、保育士も該当します。

ということですので、このWHOコードを守るのであれば、防災関係者やボランティアの人がミルクあるから使ったらいいわよと気軽にあげられるものではないという事になります。よくWHOコードの母乳代用品の扱いは「抗生物質と同じ」と比喩されることがあるのですが、抗生物質が必要な人にとってどんなに役立つものであっても、ボランティアの人が誰にでも配れるものではなく、医師や薬剤師など専門職のアセスメントが必要ですよね。それと同じ扱いになっています。