3 訓練計画書の策定

目標を決めたのち、訓練の日時、場所、内容を決め、参加対象者を誰にするのか、訓練方法(「図上」か「実働」か)などを決め、表1の訓練計画書を作成します。

 

また、訓練対象部門の責任者及び関係機関の了承を得るようにするとともに、表2の参加者(訓練統括者、コントローラー、評価者、記録者など)も定めます。

なお、訓練計画書の作成は、訓練日の1~3カ月前に作成するなど、あらかじめスケジュールを決めます(表3参照)。

4 訓練の想定 

訓練を実施する前に、具体的に訓練想定を定めます。 

地域における地震の規模やライフラインの被害状況は、国や自治体が発表した被害想定を参考に、所在する施設の被害が最も大きい地震を想定します。地震発生時間は、最悪の事態を想定しておくことが重要です。企業では従業員や来客者がいて工場・設備が稼働している「勤務時間中の地震発生」を想定することを、お勧めしています。 

停電、ガス・上下水道停止、通信不通、交通機関停止などのライフライン状況や設備等の被害状況、職員の参集状況、従業員の負傷者の有無などについても、具体的に想定することが肝要です。 

負傷者を想定する場合、負傷個所、負傷の程度、歩行の有無、意識状況など、負傷者役が演技できるよう、きめ細かく定めることが重要です。

5 訓練プログラムの策定(シナリオなき訓練の勧め) 

訓練の実施に当たっては、訓練目標を達成するため、実施する訓練項目と訓練の流れを定め、次に実施場所、訓練に要する時間、訓練参加者、使用する資機材を定めます。 

次に、訓練項目ごとに、参加者の役割分担、大まかな動きが分かるような訓練プログラムを作成します。その際、参加者の発言を記した詳細なシナリオは作成せず、訓練参加者に、自らどのような行動をとるかを考えてもらうことが重要です。 

シナリオがない訓練では、次から次と起こる想定外の事態に対し、参加者があわてふためいたり、どうしてよいか分からなかったりして、多くの課題が明らかになります。

実際の災害時における失敗は命取りになる可能性がありますが、訓練ではいくら失敗してもそれが後々役に立ちます。想定外の事態が起こった時にどのように行動したらいいのかを理解し、失敗しながら覚えていくことが大切です。多くの失敗例や問題点が明らかになる訓練が、良い訓練といえます。 

「訓練でできないことは、災害発生時にできない」ことを、十分理解しておいてください。

6 訓練実施上の留意事項

(1)関係機関との調整
訓練計画書ができたら、所管の消防署へ届けるとともに、必要な指導を受けるようにしてください。また、警察署や関係行政機関などに連絡し、必要な助言を受けるようにします。さらに、必要に応じ、近隣の町会や自治会、関連団体に連絡し、協力を得るようにします。

(2)通常業務の変更
訓練実施に伴い通常の業務を変更する場合、少なくとも1週間前までに従業員や関係者へ周知し、理解を得ます。

(3)訓練の中止
訓練当日が雨天や悪天候などの場合、いつの時点で、誰が訓練を中止・延期するかについても、あらかじめ決めておきます。

(4)訓練当日 
訓練統括者の進行により訓練を開始します。必要に応じて「訓練を中断」する場合や訓練終了時も、訓練統括者が指示します。 

訓練当日、実災害が発生した場合、または業務上重大な支障が生じた場合、訓練統括者の指示により、訓練を中断または中止します。 

訓練が終了したら、訓練統括者のもとで意見交換会(反省会)を開催し、訓練評価者による講評や訓練参加者の意見や感想を出し合うようにします。

(5)訓練終了後 
訓練終了後は速やかに訓練実施報告書を作成し、所管の消防署へ提出します。また、必要に応じ、警察署や関係行政機関、近隣の町会や自治会に報告します。 

さらに、訓練の成果に基づき、必要なBCPやマニュアルの改善を行います。 

なお、BCPやマニュアルへ反映のポイントは、次の通りです。

・手順書の記載にしたがって動けたか⇒記載内容の追加・修正
・臨機応変の対応をしたか⇒その手順を追加
・手順書の記載の順序が適切だったか⇒記載内容の修正
・手順書記載事項を省略したか⇒記載内容の削除