係員(中央奥)の指示に従い、展望室の一般来場者も身をかがめた

東京都は14日、新宿区の都庁で総合自衛消防・防災訓練を実施した。火災対応訓練には職員とテナント業者の約2000人、地震対応訓練には全職員とテナント業者の約2万5000人が参加。一般の利用も多い食堂での出火や、外国人観光客に人気の展望室での地震対応などの訓練を行った。

火災訓練では第一本庁舎32階と第二本庁舎4階の食堂から出火の想定。眺望が人気で一般の利用も多い第一本庁舎32階では、出火後に食堂の職員が自衛消防隊を呼び、初期消火を行ったものの煙が充満したとして、防火シャッターを閉め階段で職員が下り、さらに庁外に出て隣接する新宿中央公園まで避難した。

地震対応訓練は震度6強クラスを想定。全職員が机に隠れるなどその場で対応を実施した。第一本庁舎45階にある北展望室では、通常通り一般開放している状態で訓練を行った。日本語と英語で緊急地震速報を流し、日・英・中・韓の標示板を提示。さらに係員が日本語と英語のほか韓国語も交えて、身をかがめ頭を守るよう大きな声で呼びかけ、来場者は指示に従った。

都庁では1850人で自衛消防隊を組織。150隊で組織され、各フロアを北・南・中央に分け役割を分担している。第一本庁舎は48階、第二本庁舎は34階建て。火災と地震対応は年2回訓練を行い、都の各局において局内の自衛消防隊の管理やとりまとめを行っている。都総務局によると今回の訓練は2020年東京オリンピック・パラリンピックを意識したという。火災の発生場所を今までの執務スペースでなく一般利用も多い食堂とし、運営するテナントも協力。地震対応では英語でも緊急地震速報を流し、パナソニック製多言語翻訳機「メガホンヤク」のほか、デジタルサイネージを用いて外国人も見るだけで避難先がわかるような工夫も行った。東京消防庁新宿消防署も協力し、都庁前には地震や火災の疑似体験ができるVR(仮想現実)防災体験車も設置された。

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介