写真を拡大 今年のリスク上位を示した表。第14回グローバルリスク報告書2019年版(マーシュジャパン株式会社/マーシュブローカージャパン株式会社による翻訳)無断転載を禁ず

そのことを裏付けるように、2018年版より報告書には「Hindsight(振り返りの視点)」というコーナーがある。ここでは2008年にとりあげた食糧問題について再考。2000年代初頭に人口における飢餓率は15%程度あり、2015年には10.6%まで減少。しかしその後2年で4000万人近い飢餓人口の増加で、再び10.9%に上昇している。その背景には地球温暖化が影を落としており、1.5℃の気温上昇で3500万人が、3℃で18億人が作物不作の影響を受けると予測。このほか、昨年の報告書で取り上げられた「市民社会の空間」も長年放置されてきた問題だ。さまざまな事件や事故で社会的な信頼を低下させないような工夫が求められる。そしてインフラへの投資もだ。

平賀氏は「温暖化や都市への人の流入も進んでおり、インフラ投資も追いつかなくなっている」と指摘。長年の課題を解決できないまま、状況が深刻になりつつある状態に懸念を示した。

企業にとっても過去を振り返ってみることも大事だ。「困っていることが起こっている原因をしっかり把握できないと、同じリスクはまた起こるし、様々なリスクの源泉が実は同じということも考えられる」(平賀氏)。それゆえ、PDCAをしっかり回し、特に改善を強化しリスクの芽を摘むことが重要だとした。

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(了)

リスク対策.com:斯波 祐介