2019/02/26
インタビュー
そのことを裏付けるように、2018年版より報告書には「Hindsight(振り返りの視点)」というコーナーがある。ここでは2008年にとりあげた食糧問題について再考。2000年代初頭に人口における飢餓率は15%程度あり、2015年には10.6%まで減少。しかしその後2年で4000万人近い飢餓人口の増加で、再び10.9%に上昇している。その背景には地球温暖化が影を落としており、1.5℃の気温上昇で3500万人が、3℃で18億人が作物不作の影響を受けると予測。このほか、昨年の報告書で取り上げられた「市民社会の空間」も長年放置されてきた問題だ。さまざまな事件や事故で社会的な信頼を低下させないような工夫が求められる。そしてインフラへの投資もだ。
平賀氏は「温暖化や都市への人の流入も進んでおり、インフラ投資も追いつかなくなっている」と指摘。長年の課題を解決できないまま、状況が深刻になりつつある状態に懸念を示した。
企業にとっても過去を振り返ってみることも大事だ。「困っていることが起こっている原因をしっかり把握できないと、同じリスクはまた起こるし、様々なリスクの源泉が実は同じということも考えられる」(平賀氏)。それゆえ、PDCAをしっかり回し、特に改善を強化しリスクの芽を摘むことが重要だとした。
■ニュースリリースはこちら
https://weforum.ent.box.com/s/r52qqqvx6tzptxlyvcp48tx4jfosanez
■関連記事「気候変動と保護主義が大きな懸念」
http://www.risktaisaku.com/articles/-/14540
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
- keyword
- グローバルリスク報告書
- ダボス会議
- マーシュ
インタビューの他の記事
おすすめ記事
-
-
過疎高齢化地域の古い家屋の倒壊をどう防ぐか
能登半島地震の死者のほとんどは、倒壊した建物の下敷きになって命を落とした。珠洲市や輪島市の耐震化率は50%程度と、全国平均の87%に比べ極端に低い。過疎高齢化地域の耐震改修がいかに困難かを物語る。倒壊からどう命を守るのか。伝統的建築物の構造計算適合性判定に長年携わってきた実務者に、古い家の耐震化をめぐる課題を聞いた。
2024/03/28
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年3月26日配信アーカイブ】
【3月26日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:四半期ニュース振り返り
2024/03/26
-
-
-
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年3月19日配信アーカイブ】
【3月19日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:副業・兼業のリスク
2024/03/19
-
リスク担当者も押さえておきたいサイバーセキュリティ対策の最新動向
本勉強会では、クラウド対応のサイバーセキュリティ対策の動向を、簡単にわかりやすく具体的なソリューションの内容を交えながら解説します。2024年3月8日開催。
2024/03/18
-
発災20分で対策本部をスタートする初動体制
総合スーパーやショッピングモールなど全国各地のイオン系列の施設を中心に設備管理、警備、清掃をはじめとしたファシリティマネジメント事業を展開するイオンディライト(東京都千代田区、濵田和成社長)。元日に発生した能登半島地震では、発災から20分後にオンラインの本社災害対策本部を立ち上げ、翌2日は現地に応援部隊を派遣し、被害状況の把握と復旧活動の支援を開始しました。
2024/03/18
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方