モデル企業の認定式を都庁で開催する

東京都は22日、「平成30年度東京都一斉帰宅抑制推進モデル企業」として12社を認定したと発表した。一斉帰宅抑制推進企業49社のうち、特に社会的影響や波及効果の大きい取り組みを行っている企業を選んだ。3月8日に新宿区の都庁で小池百合子知事も出席し、認定証の贈呈を行う。

都では2018年8~10月まで、災害が起こった際に救助活動の妨げや二次災害を起こしかねない一斉帰宅の抑制のため、備蓄など取り組みを行う企業を募集。49社が推進企業に選ばれた。学識経験者や中小企業、BCP(事業継続計画)の専門家などによる委員会により、そのうち12社をモデル企業として選定した。

例えば日清食品ホールディングスは災害時に業務遂行ができるよう、全館停電時に就寝実験を行っている。ディスコは従業員の自宅の備蓄にインセンティブを付与。佐川急便では全女性社員に女性専用の災害対策品を配る取り組みが行われている。大企業から中小企業まで規模を問わず、幅広く選ばれた。

写真を拡大 モデル企業12社と主な取り組み(出典:東京都総務局ホームページ)

小池知事は22日の記者会見で、2011年の東日本大震災に加え21日の北海道での地震でも札幌市で帰宅困難者が発生したことを振り返ったほか、首都直下地震で予想される行き場のない帰宅困難者数の約92万人に対し1月時点で一時滞在施設の確保が36万3000人にとどまることを説明。そのうえでさらなる一時滞在施設確保のため、施設を提供する民間企業への備蓄の補助や、施設運営の不安解消のためのアドバイザー派遣も実施している旨を説明。「施設確保を着実に進めるだけでなく、意識を高め自助と行動について考えてもらうことも、行政として後押ししたい」と述べた。さらに開催中の都議会で審議する2019年度予算でも災害対策を反映していることを説明した。

また都では、一斉帰宅の抑制普及啓発動画を作成した。一般向け、事業者向け、訪日外国人向けの3種類でアニメーション形式。事業者向けは災害時に従業員の命を守り、救助の妨げにならないように72時間は従業員をとどまらせるほか、備蓄を呼びかけ。都総務局は社内研修への利用も期待しているという。東京都防災ホームページなどで公開するほか、電車内や駅構内のデジタルサイネージなどでも流される。

■ニュースリリースはこちら
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2019/02/22/08.html(モデル企業)
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2019/02/22/09.html(動画)

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(了)

リスク対策.com:斯波 祐介