写真を拡大 女性防災ネットワーク・東京での岬美穂先生講演資料より引用(以下スライドは同様)

様々な「橋渡し」役

リエゾンとは、フランス語で「つなぎ」「仲介」「橋渡し」を意味します。

災害派遣医療チームのDMAT(Disaster Medical Assistance Teamの頭字語「DMAT」)で活躍される方は救命医の方も多く、赤ちゃんや妊婦さんという特別な配慮が必要な人には、専門医のアドバイスが必要になってきます。その災害医療と専門医療をつないで橋渡しするのが、災害時小児周産期リエゾンの役割です。

マンガの中でもこんなシーンがありました。妊娠8カ月の妊婦さんが自宅のタンスが倒れて自力脱出したものの、救助後に破水が始まります。みなさんは妊娠8カ月がどんな状況かわかりますか?やはり専門家ではないと状況判断が難しいですよね。当初、緊急搬送先に選ばれたのが、産科のあるS病院。しかし、ここで災害時小児周産期リエゾンが登場して、「搬送停止」を指示します。S病院にはNICU (Neonatal Intensive Care Unit、新生児集中治療室)がなく、27週の赤ちゃんが生まれても助けられない状況だったからです。災害時小児周産期リエゾンの医師がDMATの医師に連絡をとり、妊婦さんの状況を間接的に確認しつつ、NICUのある病院へのヘリ搬送を手配していくシーンです。

ここで、災害時小児周産期リエゾンの存在がなかったら、赤ちゃんの命が危険になっていました。役割の重要性がよくわかるシーンです。また、災害時小児周産期リエゾンは、DMATとの連携だけでなく、行政との調整も重要な役割となっています。

専門医同士は日常から連携がとれていたりするのですが、いざ被災してみると、行政との連携がうまくいかず混乱するということが各地の災害現場で起きています。そのため、行政との橋渡しを実施するのが災害時小児周産期リエゾンの役割です。

災害時小児周産期リエゾンのお話を深める前に、DMATがなぜできたかということについて簡単に説明します。

医療界には、「防ぎえた災害死」と言われる言葉があります。医療が適切に介入すれば避けられた可能性がある災害死として、PDDと呼ばれています(preventable disaster death; PDD)。この防ぎえた災害死は、阪神・淡路大震災では、500名以上になると言われています。その反省からDMATが設立されました。

DMAT、災害派遣医療チームとか聞くと、被災現場にガンガン入っていって、がれきの中から人を救い、その場で聴診器をあてたりして、人命救助するようなドラマのシーンを想像する方も多いのですが、重視されているのは、情報収集体制と搬送体制です。

医師の方々が、聴診器を首に下げるわけでなく「広域災害救急情報医療システム」にパソコンで入力作業をされているのです。でも、この作業が本当に重要で、これがあって初めて命が救えるのです。ここ「コウノドリ」でも書いていますので読んでみてくださいね!