2016/08/28
スーパー豪雨にどう備える?
マーシュブローカージャパン株式会社シニアバイスプレジデント/
ジャパンプラクティスリーダー/マーシュリスクコンサルティング 小森園孝輔
利根川水系河川整備基本方針によると、利根川水系の基本高水のピーク流量の計画規模は、鬼怒川については1/100確率流量と観測史上最大流量のいずれか大きい値を採用することとしている。基本高水ピーク流量算定手法の詳細は割愛するが、その算定の基本になる確率降雨量は鬼怒川については上流の石井地点(栃木県宇都宮市)での大正13年~昭和41年までの44年間について、100mm以上の流域平均3日雨量を統計処理した362mmを採用している。
今回の洪水では、9月9日から10日にかけて、石井地点上流域の流域平均最大24時間雨量410mmを記録し、これまでの最多雨量を記録した。また、3日間雨量(流域平均)は501mmであった※1。
鬼怒川水海道地点(常総市水海道本町)および平方地点(下妻市平方)において、観測史上最高水位を記録、計画高水位を超過、流下能力を上回る洪水となり、7カ所で溢水し常総市三坂町地先で堤防が決壊した(9月10日12:50)。浸水域は常総市役所本庁舎にまで至る大きな災害となった。
常総市の避難指示対応
堤防決壊前の9月9日22時54分から、国土交通省関東地方整備局下館河川事務所は川島水位観測所(決壊地点よりも24.6km上流)の観測水位をもとに常総市長に複数回電話連絡(ホットライン)にて、河川の水位、堤防決壊の危険性、堤防が決壊した場合にどの程度の時間でどこまで浸水するのか、などの情報を提供していたという※2。
上記の下館河川事務所の情報提供に加えて、常総市の避難勧告指示発令状況を時系列に示す。
スーパー豪雨にどう備える?の他の記事
- 特別寄稿2 リスクアセスメントの偏重
- 特別寄稿1 検証:鬼怒川の大決壊
- 風速80mの台風が日本を襲う!
- 「地下」への雨水流入を遮断 東京地下鉄株式会社
- 洪水の脅威を知る企業の対策 株式会社コロナ
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年3月19日配信アーカイブ】
【3月19日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:副業・兼業のリスク
2024/03/19
-
リスク担当者も押さえておきたいサイバーセキュリティ対策の最新動向
本勉強会では、クラウド対応のサイバーセキュリティ対策の動向を、簡単にわかりやすく具体的なソリューションの内容を交えながら解説します。2024年3月8日開催。
2024/03/18
-
発災20分で対策本部をスタートする初動体制
総合スーパーやショッピングモールなど全国各地のイオン系列の施設を中心に設備管理、警備、清掃をはじめとしたファシリティマネジメント事業を展開するイオンディライト(東京都千代田区、濵田和成社長)。元日に発生した能登半島地震では、発災から20分後にオンラインの本社災害対策本部を立ち上げ、翌2日は現地に応援部隊を派遣し、被害状況の把握と復旧活動の支援を開始しました。
2024/03/18
-
-
能登半島地震における企業の対応レジリエンスの実現に向けて
能登半島地震で企業の防災・BCPの何が機能し、何が機能しなかったのか。突きつけられた課題は何か。復興に向けどのような視点が求められるのか。能登で起きたことを検証し、教訓を今後のレジリエンスに生かすため、リスク対策.comがこの2カ月の取材から企業の対応を整理しました。2024年3月11日開催。
2024/03/12
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年3月12日配信アーカイブ】
【3月12日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:東日本大震災 企業のハンズオン支援
2024/03/12
-
-
-
能登の復興は日本のこれからを問いかける
半島奥地、地すべり地、過疎高齢化などの条件が、能登半島地震の被害を拡大したとされています。しかし、そもそも日本の生活基盤は地域の地形と風土の上に築かれ、その基盤が過疎高齢化で揺らいでいるのは全国共通。金沢大学准教授で石川県防災会議震災対策部会委員を務める青木賢人氏に、被害に影響を与えた能登の特性と今後の復興について聞きました。
2024/03/10
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方