「リスク対策.com」VOL.45 2014年9月掲載記事

タイの洪水に代替拠点で事業継続

地震や火災、洪水など特定の災害に対してBCPを策定するのではなく、災害の事象を問わず「建物が使えない」「従業員が出社できない」など、結果的に自社の重要な経営資源が使用不能になる状況を想定してBCPを策定し、その結果、洪水被害を逃れ事業継続に成功した企業がある。豊田通商のグループ会社で運送業を営むTTK Asia Transport (Thailand) Co.,Ltd.だ。2011年の大洪水に続く2013年の洪水では、BCPに従って被災前に代替拠点に移転し事業を継続させた。

2011年にタイ北部・中部を襲った大洪水では、バンコク市内や7つの工業団地に被害が及び、日系企業約450社が被災したと報じられている。2年後の2013年10月にも再び大規模な洪水が起き、2011年時に被害を逃れたタイ最大規模のアマタナコーン工業団地が浸水するなど、再び甚大な被害が発生した。

こうした中、豊田通商グループの運送会社で同地域に拠点を持つTTK Asia Transport (Thailand) Co.,Ltd(以下TTKA)では、自社のBCPに従い、あらかじめ決めていた代替拠点に事務所および所有するトラックをすべて移し、事業を中断することなく継続させた。本社従業員は636人、協力会社を含めると1800人になる。所有するトラックは224台で協力会社を含めると900台。これらのうち事業に不可欠な経営支援のすべてを短時間で代替拠点に移転させた。