「リスク対策.com」VOL.45 2014年9月掲載記事

創業者の願いを引き継ぐ

東京都葛飾区のゼロメートル地帯に本社を置く株式会社タカラトミーは、ミニカーの代表ブランドである「トミカ」や女の子の人形でお馴染みの「リカちゃん」、鉄道玩具「プラレール」など、日本人なら誰でも知っている玩具メーカーの1つだ。1924年に創業し、90年の長い歴史を持つ同社は、玩具業界初となる流れ作業方式の工場設立や玩具研究部門の設置など、次々と業界に先駆けた取り組みで玩具業界の近代化にも貢献してきた。

もともと葛飾区は戦後、大小さまざまな玩具製造会社が立ち並ぶ「玩具の町」だった。しかし1959年に伊勢湾台風が発生。その被害のすさまじさを見た当時の東京輸出玩具工業協

同組合理事長の富山栄市郎氏(トミー創業者)は、葛飾区がゼロメートル地帯に位置することから「もし東京に巨大台風が襲って葛飾区が水没したら日本のおもちゃ業界が全滅する」との危惧を抱き、おもちゃ工場の集団移転構想を打ち上げ、栃木県下都賀郡壬生町におもちゃ団地を建設した。 

団地操業に合わせ、東武宇都宮線に「おもちゃのまち駅」が開業するなど、壬生町は日本のおもちゃ産業の担い手として活況を呈した。 

一方、現在でもタカラトミーは葛飾区に本社を構えており、集中豪雨対策も随所に施している。本社の出入り口や地下の駐車場に止水板を設置したほか、青砥オフィスではサーバールームに対して立ち上げ式の約1mの防水壁を完備。入り口の止水板は担当者が毎日立ち上げて帰るという徹底ぶりだ。 

タカラトミービジネスサービス課長の橋爪利幸氏は、「ゼロメートル地帯に本社を構えているため、荒川の決壊などが起こった場合、社員は3階以上に避難してもらう予定だ。水害を含む災害に備え、食糧の備蓄も3日分以上備えている」と話している。