内閣府の調査では、大企業におけるBCPの策定率が60.4%を超えるなど、BCPの取り組みは一見、着実に進んでいるように見えるが、「BCP策定のみにとどまっている企業も多く、事業継続力を維持向上させるための包括的な取り組みが進んでいない」とする調査結果が今年4月にMS&ADインシュアランス グループの株式会社インターリスク総研から発表された。

同社は国内全上場企業3451社に対し、事業継続マネジメントの実態調査を実施し、回答状況をまとめた。その結果、BCPを策定していると回答した企業が前回調査から10.2%増えており、日本企業におけるBCP策定が引き続き増加傾向なことを裏付けたが、BCPを策定したと回答した企業の増加に比べると、BCPに関する訓練を定期的に行っていると回答した企業は微増にとどまっていた。

具体的には、「BCPに関する訓練を定期的に行っていますか」との問いに対し、「まったく実施していない」との回答が39.1%、年1回以上実施していると回答したのは合計で54.1%(年1回が31.9%、1年に2回以上が16.1%、1年に4回以上が6.1%)、そのほか2年に1回が1.6%、3年に1回が4.7%と続く。年1回以上の訓練の実施率は前年比4%増にとどまった。

内閣府が今年3月31日に発表した「企業の事業継続及び防災の取り組みに関する実態調査」では、大企業におけるBCPの策定率は前回(2007年度)比6.8%増の60.4%、中堅企業では同比4.6%増の29.9%だった。さらに「策定中」「策定を予定している」と回答した企業を含めると、大企業では92%、中堅企業では72.2%となった。

出典:インターリスク総研

 

市町村は37%が継続的活動なし!


事業継続力を向上させる取り組みが伴わないのは民間企業だけではない。自治体はさらに深刻だ。総務省消防庁が今年1月に発表した自治体の業務継続計画の策定状況に関する調査結果では、都道府県は、前回調査(平成25年8月時点)で策定済が28団体(59.6%)だったのが今回調査では14団体増え42団体(89.4%)にまで高まった。今年度内にすべての団体で策定が完了する予定だ。ただし、岩手県、山形県、山梨県、沖縄県の4県に関しては、継続的改善の取り組みはしていないと回答。訓練の実施や職員向け研修もしていない県もあった。

市町村については、前回調査でBCP策定済が228団体(13.1%)だったのが、407団体増え635団体(36.5%)に。ただし、継続的改善をしていないと回答した自治体は237団体、策定ずみ企業の37.3%にものぼった。

出典:総務省

(了)