1月29日に京都大学東京オフィスで開催されたパブリックカンファレンス

TIEMS(国際危機管理学会)日本支部は2016年1月29日、「あなたのまちの危険物質を考える(3)~CBRNから身を守るための基礎知識とリスクコミュニケーション~」をテーマに、パブリックカンファレンスを都内で開催した。

講演を行ったのは、防衛医科大学校分子生体制御学講座教授の四ノ宮成祥氏、横浜国立大学大学院環境情報研究院客員准教授で、独立行政法人製品評価技術基盤機構化学物質管理センター調査官の竹田宜人氏、そして一般社団法人日本災害医療ロジスティック協会理事、株式会社ノルメカエイシア代表取締役兼CEOの千田良氏。

四ノ宮氏は、「身近に存在する生物兵器リスク」と題し、日本におけるCBRNE事件を振り返るとともに、ソ連やイラク、南アフリカなど世界中の生物兵器開発の歴史をひも解きながら、生物兵器の新たな脅威について解説した。竹田氏は「化学工場事故等に備えた地域コミュニケーション」と題し、リスクコミュニケーションとはどのようなものか、企業は平時から地域住民とどのようなコミュニケーションをとらなければいけないのかについて考察した。千田氏は、「CBRNE災害に備えて」と題し、災害医療の重要性と民間でも取り組むことができるCBRNE対策の必要性について訴えた。

続いて、四ノ宮氏、竹田氏、千田氏に加え、理事でインターリスク総研主任研究員の田代邦幸氏をパネリストに迎え、パネルディスカッションを行った。コーディネーターは新潟大学危機管理研究室教授の田村圭子氏。

パネルディスカッションの様子

会場から上がった「デュアルユースジレンマとはどのようなものか」という問いに対して四ノ宮氏は、「民間にも活用できるが、軍事にも活用できる技術のこと。我々の世界は基本的に生物兵器を開発してはいけない、保持してはいけないことになっているが、そもそも生物兵器とはどのようなものかを定義しなければいけないところから始まっている。幸い、ほとんどの技術は我々の生活、医療に多大な還元ができるものなので、学術の進歩を阻害するという議論にはなっていないが、これが軍事に転用された時にどうなるかということは常に世界中で監視していなかければいけない」と、科学技術の発達に関して警鐘を鳴らした。

また、「多くのステークホルダーと対話をした方がよいというが、その場合、近隣住民まで指すのか。どのような対話をしていけばいいのか」という問いに、竹田氏は「研究開発拠点の周りの住民とも話し合いをしている場合が多い。万が一、有害物質が漏れた場合に実際に被害があるのは住民の方々だ。また、研究開発をしている本人が議論に加わっている場合もある。研究が、どういう目的で研究開発をしていて、将来どのような有用なことに還元できるのか主張している。リスクを解析し、万が一事故が起きた場合にどのくらい被害が及ぶのか、シナリオベースで解析している人もいる。一概には言えないが、いろんな方面から議論した方がよい。大切なのは安全性をいかに確保しながら、一方で化学の進歩のメリットを我々がどのように享受しているかということを理解してもらうことだ」とした。

「災害医療ロジスティックスというのはどのようなものか?」という質問に対し、千田氏は「組織は東日本大震災の前年に結成し、まさに活動をはじめようとしていたところだった。災害が起きたときに、医療行為は医者にしかできない。しかしそのサポートは一般の人にでもできる。看護師や薬剤師などもふくめ、医療関係従事者に医療行為に専念してもらうため、そのほかの情報収集や発信、食事の問題、安全確保や宿泊準備まで、医療行為以外のすべてをサポートすることを目的としている」と、その重要性について話した。