これは、少し重要なメッセージです。

災害対応の戦略や戦術は、被災の実態と被災者のニーズによって定まる。内容を先に形式は後にである。どういう体制をとるか、どのような構えをとるかの解答は、現実を冷静に分析することから得られる。過去の経験にこだわってはいけない。

熊本地震は人口70万人の地域に被害をもたらしている。また10万の避難者を生み出している。この数字はどちらも、阪神・淡路大震災の1/3である。ところが、直後の避難所数を見ると、阪神・淡路と同じ900~1000である。避難所数がとても多いというところが、ポイントである。

被災地の生活救援ニーズを被災者数でみると、阪神の1/3と見積もれる。ボランテイアは阪神の1/3ということで1日3000人から5000人いるとはじき出される。ただ避難所数が多く、取りこぼしがないようにということで考えると、小規模避難所に5人、大規模避難所に10人ということでボランテイアを配置すると1日7000人ほどのボランテイアがいるということになる。

全半壊の建物は3000棟である。阪神・淡路大震災の1/70である。建物被害で見ると、中越沖地震の被害規模に似ている。それでも中越沖の全半壊数の1/2である。応急危険度判定や罹災証明の手間は、中越沖の1/2程度と見積もることができる。

中越沖では約3000人の危険度判定ボランテイアが9日間かけて危険度判定を行っている。私は2次災害防止の観点から、危険度判定は3日でなすべきと考えているが、欲を言わず、中越沖並みで9日間で危険度判定をするとなると、1500名の判定ボランテイアがいる。

ところで後片付けボランテイアであるが、3000棟のうち1000棟が安全か要注意に判定されるとして、1棟5人・日とすると5000人日いることになる。5日間で後片付けを完了するとすると(被災者には2週間以内に家に戻ってきてほしい)、避難所支援とは別に1日1000人のボランテイアがいることになる。

これだけのボランテイアをどのようにして集め、どのようにしてオペレーションするかを、しっかり考えないといけない。東日本や常総の経験の延長線上で考えていてはならない。