みなさま、こんにちは!

前回の「災害時に使えるナチュラルクリーニング」、たくさんの方にアクセスしていただき、ありがとうございます!

その中でこんな質問をいただきました。

「他は素晴らしいのですが、一点気になるのは、一般的な感染症対策はイイのですが、ノロ、ロタウイルス対策には普通のアルコールでは効かなかったはずですが…」

今日は、このお返事を詳しく書きたいと思います。

・・・が、その前に!

感動したのが、この質問をしてくださった方、すごくお心遣いができる方だなあと思った事です。

「他は素晴らしいのですが、」という最初に書かれたこの一言。

ついつい、「ノロ、ロタにアルコール効かないはずですよ」とだけ書いてしまいがちなことを、この一言を最初に入れるだけで、この方のきめ細やかなお心遣いが伝わってきます。

ご指摘本当にありがとうございます!災害時、共助が必要な場面でも、こんな心遣いを忘れないようしたいと思っています。

ノロ、ロタには、アルコールは効きません!でもアルコールで物理的に減らすことは可能です!


さて、肝心の内容ですが、そうなんです!
ノロ、ロタには、アルコールは効きません!

引用した厚生労働省も だからこそ「補助的に」と書いてあります。
(前回の記事はこちら。)

ん?効かないのなら、補助的にも効かないのではないの?と思われるかもしれません。ここ、私も説明不足で、厚生労働省の引用だけではわかりにくかったと反省しています。

アルコールでノロ、ロタを死滅させることはできません。でも、アルコールで何度も拭いて物理的に減らすことは可能です!「ご利用は物理的に」ということですね。その旨、説明不足でした。すみません。

「効かないけど、何度も拭く」という手法は、2014年12月11日 リスク対策.comさんが主催した「防災トイレサミット」にて、東京医療保健大学大学院感染制御学准教授/菅原えりさ先生のご講演で知ることができました。

その時に先生にご許可をいただき、子育て世代に是非広く知っていただきたいので、ブログや講演でお知らせしてよいかお聞きしたらOKをいただけました。

そこでまとめた記事が以下です。

11日、防災トイレサミット2014に参加してきました!

いろいろご報告したいことは山盛りですが、子育て世代にはまずはノロウィルスについての最新の知見を。東京医療保健大学大学院感染制御学准教授/菅原えりさ先生のお話からのまとめ。

●ノロウィルスのように脂質の膜(エンベローブ)がないタイプにはアルコールが効かない。

●ウィルスが生きていけない環境である酸性に傾けるという意味で漂白剤などの次亜塩酸系消毒剤が使われることがあるが、体には直接つけてはいけない。

●手に付着したものを水がない災害時どうやって消毒するか。

●様々な商品も販売されているが、ノロウィルスについては、人間に感染するタイプのものは、まだ培養できていない。

●だから、本当に人に効くかどうかのエビデンスはない。現在、ネコやブタのノロウィルスを培養したもので効果があるものについては、開発中で、病院で使われ出したものがあるが、市販はされていない。

●災害時に手に入ったり日頃から備えやすい 除菌できるウェットティッシュはアルコールである。

●では、アルコールは全く役にたたないのか?

●アルコール製剤研究所の調査によると、拭き取ることで効果はでている。

効かないけれど、物理的に拭き取ることの効果はある。あきらめずに 何度も手を拭く事。


以上です。

参考:「ノロウイルスに係るエタノール使用ガイドライン」(一般社団法人アルコール協会)

 

ということで、ノロ・ロタにはアルコールは効かないというご指摘は正しいです。けれども「物理的に拭き取る効果がある。水がない時、塩素系漂白剤ではできない「人を拭く」という行為も、アルコールならできる」という意味でアルコールを小さな入れ物で持ち歩くことをおすすめしています♪

ちなみに、災害時ではなく通常のノロ、ロタ対策では、次亜塩酸系消毒剤(塩素系漂白剤)の使用が勧められることが多いです(人は水やお湯で洗いますが、吐瀉物の掃除方法としての利用として)。

ただ、菅原先生によると、ヒトではなくネコやブタのノロウィルス対策でしかなく、エビデンスのあるものは、2014年段階ではまだ市販されていないとのことです。市販されている塩素系漂白剤を使用したとしても、完璧なものではないということは、覚えておきたい情報です。

避難所で、ノロ・ロタが拡大した場合、消毒にかかわった方を責める論調もでてきますが、感染力の強い、完全には対策しにくいものだと理解しておきたいと思っています。

これは、子育て中で、こどもが感染した場合、塩素系漂白剤とマスクと手袋で感染防止したけれど、看病している家族は全員感染した・・・という話を毎年お聞きするので、実感しやすいところでもあります。