企業の情報通信ネットワークを、雷や地震などの自然災害や、情報漏洩・不正侵入などのトラブルから保護する総合安全ソリューションを手がける昭電。その防災への取り組みは、1970年代に大手電力会社の通信機械室の設備を整備することから始まった。

現在ではオフィスの通信機器の発達により、床を底上げして通信機器やケーブルを床下に配備する「フリーアクセスフロア」(二重床)は当たり前の設備となっているが、当時は重要な通信機械室のみで施工されることが一般的だった。そのフロアに、世界で初めて耐震構造を施したのが同社だった。

CMSコントロールルーム管理システム活用イメージ(画像提供:昭電)

同社常務執行役員事業推進部長の加藤雅也氏は「地震大国であるわが国で、いかに通信機器を地震から守るか、お客様と知恵を出し合いながら一緒に考えて作ったのが耐震フレームだった」と当時を振り返る。

現在、同社が力を入れているものの一つが、ベルギーのバルコ社が提供するTFN/CMSというIPネットワーク
を活用したカメラ映像共有システムだ。例えば防犯系の監視カメラでは、いまだに同軸ケーブルを介してブラウン管を通じてしか見ることができない機種も数多く残っている。現在の監視カメラはIPネットワークを介するものが主流であるため、これらのフォーマットが違う映像を混在して同一の画面上に映し出すことは非常に困難だった。

TFN/CMSは、独自のシステムを構築することでこれらの課題を解決。同システムを導入した静岡市建設局道路保全課は、市庁舎内の土木施設監視センターに50
インチ× 6 面の大型プロジェクターを設置し、市内のフォーマットの違う複数のカメラ映像を同時に表示できるようにしたことで、所員や管理者が迅速に意思疎通を行えるようになったという。

 

加藤氏は「本来なら、監視カメラをすべて入れ替えないと映像の共有は難しかった。このシステムなら、リーズナブルに問題を解決することができる。大掛かりな装置を導入するのではなく、BCPはできるところからしっかりリーズナブルにやることが大事だ」としている。