2016/06/16
C+Bousai vol3
県境を越えて防災と地域活性化
編集部注:この記事は、2015年3月発行の地区防災計画学会誌「C+BOUSAI Vol3」に掲載した記事をWeb記事として再掲載したものです。役職などは当時のままです。(2016年6月15日)
「同じ地区内なのに、県をまたいだだけで津波の被害想定が違った。石川県側(以下、加賀吉崎)の想定は高さ最大8.1mの津波が押し寄せ、浸水は最大8.2m。それに対して福井県側(以下、越前吉崎)の想定では津波が最大5.4mで、浸水は2mとなっていた。加賀吉崎で必死に避難訓練をしていても、越前吉崎では何を大げさなことをしているのかという状況だった」と話すのは、三木地区まちづくり推進協議会・三木地区自主防災会の事務局長を務める竹本利夫氏。
そもそも、同じ地区内を県境が走るのは全国的に見ても珍しく、そこには歴史的な背景がある。吉崎地区は15世紀末の室町時代、蓮如上人が浄土真宗布教のために吉崎御坊を構え、寺内町として発展してきた。後年、明治に入って県境が引かれる際、蓮如上人の吉崎御坊と、それに隣接した国指定天然記念物「鹿島の森」をどちらの県に入れるかで話し合いが持たれた。結果として吉崎御坊は福井県に、鹿島の森は石川県に属することになったが、このことが複雑な県境を生んだ背景となった。町内に県境が走り、越前吉崎に家屋、加賀吉崎に庭を持つ家もできてしまったという。
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