地域防災計画への紐付け

市では、2013年度中に、地域コミュニティ継続計画を配布した44地域すべてに職員を派遣し、コミュニティ協議会長および自主防災組織の会長に口頭で趣旨を説明。今年4月には「地区防災計画制度」が施行されたことから、今後、地域コミュニティ継続計画を地区防災計画に改め、地域防災計画と紐付けていくことを検討している。

2013年12月に改正した地域防災計画には、「市と自主防災組織等が協働で地域コミュニティ継続計画の策定を推進する」という一文を加えた。現時点では、地域コミュニティ継続計画を策定した地区は誕生していないが、河西氏は、地域コミュニティ継続計画ができあがってきた段階で、「地域コミュニティ継続計画の達成に向け、市と自主防災組織は協働で取り組む」などの文章を加えるなど改定をする必要があると説く。

ただし、地域コミュニティ継続計画(地区防災計画)のすべての内容を地域防災計画の中に入れ込むようなことは現状では考えられないとも指摘する。「市が指定する避難所以外の一時避難所について掌握できれば災害対応にも役立つが、それは地域防災計画とは別に資料として管理することになると思う」(河西氏)と話す。

内閣府が今年まとめた地区防災計画ガイドラインでは、「地区防災計画の内容等は地区の特性に応じて自由に決めることができる」としているが、河西氏は「市として地域にこんなことを考えてもらいたいということは、しっかり提示した方がいいと思う。今後はマンションでも地区防災計画を作りたいというニーズも出てくるかもしれないが、やはり、白紙から自由に計画を作ってもらうというよりは、まずは行政としてどのような活動を住民(入居者)に期待しているかを示した方がいいと思っている」とする。

地域中小企業への期待

高松市総務局危機管理課では、地域の防災力を高めるために、中小企業に対してもBCPの策定を促している。今年3月には、香川県中小企業家同友会とともに、中小企業を対象としたBCP策定の解説書「大規模災害時の事業継続計画」を作成した。河西氏は「企業には、災害時にできるだけ地域を助けてほしいし、企業が早期に復旧してくれたら雇用の確保にもなる」と目的を語る。

香川県中小企業家同友会で、解説書作成の中心となった有限会社松倉製作所社長の井本康裕氏は「平日の昼間に地震が起きれば、我々従業員は、工場で被災する可能性が高い。この地域で何をするかを考えた時、自分たちが被災者になるのではなく、地域住民のために寝泊りするための場所を提供したり、食料を提供するようなことはできる。そして、何より企業として一刻も早くビジネスを再開して雇用を守らなくては地域経済が止まってしまう」とBCP策定の重要性を語る。

同社は金網フェンスの下請け業。「親会社から早急に納品を要求されるようなことはないかもしれないが、地域の中でフェンスが破れている、塀が傾いているなどの連絡があれば、もともと手作業が得意だし、何か役に立つことはできると思う。こうした小さなことでも直ぐに取り掛かれる体制を構築していきたい」とする。

今後は工業団地内の他の企業とも連携して、住民を招いた勉強会や交流会などを開くことも検討していきたいとしている。

松倉製作所社長の井本康裕氏