地元密着のボランティア支援

今回の地震では、非常に早い段階から、県と被災市町村の社会福祉協議会が中心となり、ボランティアセンターを立ち上げるなど、活躍した。被災規模が比較的に狭く、降雪時期とあって、危険性もあることから、地元を知る周辺市町村の住民に対象を絞り、ボランティアを募集した。現地に即した形で、被災住民に寄り添った活動を展開するには地元の力が大きい。もう1つ、注目すべきは、今回の地震では早い段階から、プロの建築家が被災者ニーズに即した専門的アドバイスを行うなど、支援活動を展開したことだ。

地震の場合、住まいを修理するか、解体するか、住み続けるかなど、その選択に対する被災者の悩みは大きい。

堀之内地区で出会った一人暮らしの女性は築30年に満たない住宅が、応急危険度判定で赤紙を貼られ「知り合いの建設業者に相談したら、修理するには基礎から取りかえるなど、大掛かりな工事が必要で莫大な資金が必要と説明された」と肩を落としていた。

こうした中、新潟市内の建築士らで活動する「建物修復支援ネットワーク」では、早い段階から、建物の修理に関する相談会を開くなど、支援を本格化させた。

地震の被災地では、行政などが損壊住宅を応急判定し、危険度の高い順に、赤、黄、緑の表示を貼るが、これは、その後に発生する余震などによる倒壊の危険性や、外壁・窓ガラスの落下、付属設備の転倒などの危険性を判定することにより、人命にかかわる二次的災害を防止することを目的としたもの。しかし、赤紙判定を貼られた人の中には、修復不能と誤解されてしまうこともあるという。

建物修復支援ネットワーク代表の長谷川順一氏は、「大切なのは、被災した建物を再生するのにどのような手法があるのか、トリアージをして処方箋を示してあげること」と話す。その上で、かかりつけの工務店や建築士とも相談して、「予算に応じて化粧部はあきらめてもらう」「構造補強だけはしっかりやる」など、被災者の状況に応じた対策案を出してあげることが大切だとする。

今回の地震で長谷川氏は、降雪による二次被害の拡大も懸念されたことから、2段階での対策を提案した。まずは、雪下ろしができる程度の応急補強対策をすること。「家がつぶれないで済めば、春になってからでも、どうするかゆっくり考えることができます」(長谷川氏)。

被災建物の修復は、責任が伴うため、建築士や工務店も金額を大目に言ってしまうなど、正しい状況判断がしにくい。長谷川氏は「建設事業者と住民の間に立って、対策の方策を検討してあげることが大切。今回は早い段階からいい形で関わることができたのでは」と話している。