防災計画は、避難行動に関する3.11の教訓を生かし、その他、防災組織等で構成されている。避難行動のルールの中で、災害時要援護者支援についての議論には多くの時間を割いた。要援護者支援に関わる条件を具体的に例示すると同時に、自助努力で避難した人への支援についても考慮した。

防災計画は、作って終わりではなく、そのルールの有効性を検証することが大切であると考え、安渡地区では町や防災関係機関と連携、合同防災訓練を実施してきた。昨年は3 月2日に、今年は3月8日に実施した。訓練は津波避難訓練、情報伝達などの訓練、特に要援護者の避難支援訓練に注力した。災害時に要援護者は実際にどのように具体的に行動できるかを検証するため、シナリオを作成し、それをもとに訓練を行った。車やリヤカーでの要援護者の搬送、避難を嫌がる老人を説得し、一緒に避難するように促した。訓練終了後は参加者自身が検証し、意見を取りまとめ、防災計画の見直しに反映させるという、いわゆる「PDCA」を発動させた。

最後に、防災計画策定の効果と意義としては、3.11の教訓を次世代に伝える素材となった、防災意識の基盤ができつつあるほか、行政との連携強化などが挙げられる。

今後は地域防災活動の具体化、制度化と浸透は可能であるかどうかを見据え、より実効性のあるものにしていかなければならない。

写真を拡大 (出典)防災都市計画研究所「安渡町町内会・大槌町合同防災訓練実施計画」、2013年3月2日
写真を拡大  (出典)吉川忠寛「安渡(2):津波被災地域における防災計画づくりの教訓」(浦野正樹他著『津波被災地の500日』早稲田大学ブックレット、早稲田大学出版部、2013年4月25日