長野県は去年かなり大きな災害をいくつも経験した。7月には、木曽で土砂災害が起き、中学生が1人亡くなった。8月にも豪雨災害があった。広島の豪雨災害も記憶に新しいが、長野県も広島と同じような地形を有している。9月には御嶽山の噴火、10 月は台風襲来、11月には長野県神城断層地震が起きたことにより、住民の防災に対する意識は、もともと高かった上にさらに高まった。

こうした中、ある区長から、地域防災計画のくくりではなく、地区独自の防災計画を作りたいという提案があり、地区防災計画制度もできたことから、町としてもやろうということになった。町は2015年度から本格的に地区防災計画を展開することにしている。その前段として、試行的に2014 年度の下半期に、第一区・第二区について取り組ませてもらった。ちなみに下諏訪町には全部で10区がある。このペースで1年に2地区ずつ着手すれば5年で全部の町の防災計画ができる見込みである。

第一区においては、まず全住民が集まることから始めた。全部で3000 人ほどいるが、集まれない人もいるので、さらに小さな町内会単位で先行モデル地区を作り、数百人のモデル地区で実施した。1戸から必ず1人と出席を要請してもなかなか来ないが、役員の努力で、通知を持って臨戸で出欠を確認し、出席できない人の意見も聞いて、危険カ所マップづくりの際などに反映した。

ただ、最初の説明で県や町の職員が説明をすると公共事業と勘違いされ、「道路を直してほしい」といったたぐいの話になってしまった。それでも少しずつ本質を理解していただき、最後は危険カ所をマップに落とし込むに当たり、それぞれの区長が進行役を務めながら危険カ所自慢のようなプレゼン大会となり、盛り上がった。

危険カ所マップの裏には、避難ルールが書いている。スタイルとして1枚ものにしてほしいという要請があった。こうした意見を参考に、わかりやすく壁に貼っておけるものにしたいと考えている。

地区防災計画は、地区主導だが、やはり行政もパワーがなければいけない。今回は、町や県のみならず、内閣府の援助もいただき、アドバイザーの先生方にも何度も御足労願い、そうしたことにより地区住民のモチベーションが上がり、知識も増えたと思う。誰がやるというより、地域住民の皆さんに行政側も関わって1つのことができた。今後これを生かし、2015年度本格展開して進めていきたい。