噴火の災害は多岐にわたる

噴火によって引き起こされる災害は多岐にわたる。直接的な被害では、火口から流れ出す溶岩流や、火山ガス、火山灰、さらに溶岩の破片や火山ガス、火山灰が一団となって山の斜面に流れ出す火砕流・火砕サージと呼ばれるものなどが挙げられるが、火口の場所や規模、種類、時期、継続期間などにより、災害の姿はまったく違ってくる。大きな揺れが起きて、物が倒れる、津波が襲うといった地震に比べると、非常に複雑なのが噴火リスクの特徴だ。

まず、火口の位置。噴火は山頂で起きるとは限らず、山腹の場合もある。それにより、溶岩などが流れる方向は大きく異なる。海や湖の近くなら海底噴火や、山体崩壊といって、山の一部が崩れ落ち、津波を引き起こすこともある。実際、過去には雲仙岳の噴火に伴う津波で1 万5000 人が亡くなっている。

そして噴火の規模。その種類もマグマなどが火口から飛び出してくる「マグマ噴火」と、地表近くの地下水帯にマグマが接触し、その熱によって水が水蒸気になって爆発する「水蒸気爆発」に分けられる。さらに、噴出されるマグマや火砕物の組成は火山ごとに異なり、その圧力も違うため、噴火のタイプは多岐にわたる。

噴火の時期も災害には大きく影響する。雨量の多い時期なら、土砂と水が一緒に斜面や川筋を流れ土石流を引き起こす。火山灰も、雨が降れば、コンクリートのように重くなる。ちなみに、灰といっても、物が燃えてフワフワしたものではなく、岩石やガラスを細かく砕いたものである。雪が多い時期なら高温の噴出物で融かされて、融雪泥流が発生することも考えられる。もちろん日中か夜かでも、避難体制に影響する。

もう1つが、噴火の継続時期。数時間で終わるものから数年間、数十年間続くものなどさまざま。やっかいなのは、一度噴火をしてもその継続時間や、その後の推移を簡単には予想できないことだ。

灰が降る場所によっても被害は異なる。農地なら、長期間、農作物が作れなくなるし、都市部では、わずか5mm の灰でも多くの災害を引き起こすと指摘されている。直後の火山灰には有毒なガス成分が吸着していることから、川が汚染され浄水場に入れば、その除去でも大変な被害になる。人が少ない場所でも例えばデータセンターがあればコンピューター機器が灰を吸って被災することもあり得る。そして社会機能が高度化した現在の都市部では、まだまだ想定できない様々なリスクが潜んでいる。

風評被害による経済ダメージ

もう1つ、あえて加えておきたいのが風評による被害だ。冒頭でも書いたように、噴火は脅威でもあるが、火山は多くの風光明媚な自然を作り出している。その恩恵は今なお多い。富士山は年間観光客が3000 万人と言われるが、過去には、噴火の風評により10%観光客が減ったとの報告もある。

2009 年に発生した新型インフルエンザでは、被害が収まってからも関西地方への観光客が激減したことはまだ記憶に新しい。観光立国を目指す上では、正しい情報を伝えなければ、実際の噴火規模以上に大きな経済ダメージを受けることも考えなくてはいけない。