「リスク対策.com」VOL.56 2016年7月掲載記事
再春館 ヒルトップ全景(写真提供:再春館製薬所)
執行役員経営企画室長の
大庭博人氏
熊本地震の震源地である益城町に本社を構える再春館製薬所は、震度7を記録した2度の地震により操業休止を余儀なくされた。「前震は大した揺れではなかったというようなことが言われますが、ここ(震源地)は十分以上に揺れています」(再春館製薬所執行役員経営企画室長の大庭博人氏)。想定外の事態が次々に発生する中、代表取締役社長の西川正明氏のリーダーシップと、社員の団結力により事業の早期復旧を果たした。多くの社員が被災する中、社員と家族の生命・生活を最優先にしながらも、地域の復興を支えた。


基礎化粧品「ドモホルンリンクル」で知られる再春館製薬所は、益城町役場から北東へ3㎞ほど離れた場所にある。社員1000人を超える熊本県内の有数企業。小高い丘全体が同社の敷地で、再春館ヒルトップと名付けられている。敷地内には、同社が運営する保育園施設もある。

2001年に「森の中の工場」をイメージした新工場が完成。2007年に本社・コールセンターも再春館ヒルトップに移転した。低層で頑丈な造りで、建物の壁面や屋上にはソーラーパネルがぎっしりと取り付けられている。周辺の丘陵地に設置されている太陽光パネルを合わせると、再春館ヒルトップ全体の年間電気使用量の100%にあたる電気をつくり出しているという。

「どこにもないものを、どこにもない方法で」というのが同社の目指す商いの姿。社内を見てまず驚かされるのが1000人規模の社員がワンフロア間仕切りなしで働けるワークスペースだ。日常的に社員間で良好なコミュニケーションがとれるように設計されている。そのスペース中央には、東京証券取引所を彷彿させるような数字が映し出されたモニタが設置されている。コールセンターのオペレーターの動きや日々の売り上げ目標の達成状況が全社員にリアルタイムで共有されているのだ。

写真を拡大 本社内のワークスペースは、良好なコミュニケーションがとれるよう社員がワンフロア間仕切りなしで働いている