2016/09/29
誌面情報 vol56
風評被害とメディアについて
北見幸一氏
電通パブリックリレーションズは広報に関する専門コンサルティング会社で、54 年の歴史があります。メディア対応を軸にしながら、危機管理対応コンサルティングをしています。風評被害の定義は「ある社会問題が、大々的に報道されることによって、本来安全とされるものを人々が危険視し、消費をやめることによって引き起こされる経済的被害」です。これは最初のスピーカーである関谷先生の著書に書かれていたことです。大々的に報道されればされるほど風評が広がるところが大事になります。
本日のテーマにもあるレピュテーションを日本語で言うと、評判、第三者の評価、あるいは風評となるかもしれません。事実、ファクトがあり、そのファクトがコミュニケーション、メディアを通じて報道されることで風評、レピュテーションが発生します。コミュニケーションで重要なのは、やはりメディアです。
SNSからまとめサイト、そしてテレビ新聞
風評の流れは、まずはネット上でFacebookやTwitterなどに書き込まれます。次の段階は書き込まれたものがまとめサイトに掲載されます。我々はソーシャル上の情報を取り上げるメディア、たとえばJ-CASTニュースやガジェット通信などをミドルメディアと呼んでいます。このミドルメディアが取り上げて話題が大きくなると、今度はテレビや新聞で取り上げられて、社会問題化していくのが一般的な流れになります。
風評被害とは違いますが例をあげると、2011年にスカスカなおせちが届いた悪質な事件が起こりました。このときは、まず、ソーシャル上で口コミとして書き込まれ、その後ミドルメディアでまとめられて、それをいち早くテレビが報じました。そして、オンラインメディア、テレビ等々で次々に報道され拡散して、いろいろなところで話題になり、炎上したわけです。起きてから3日で社会問題化しました。これは2011年のことなので、今はもっと早くなっています。1日で社会問題化する可能性があるということです。
早期に察知しマネジメント
風評の動きを早期に察知できる体制を整備することが大切です。そして、それをマネジメントすることが重要です。我々が独自に開発した危機管理ペンタゴンモデルは、危機管理に重要だと考える5つの力をもとに分析します。5つの力とは「リーダーシップ力」「予見力」「回避力」「被害軽減力」「再発防止力」になります。リーダーシップ力はクライシス全般に必要な力です。予見力、回避力はクライシスが発生する前の準備段階でどのようなことができるかという力です。クライシスが発生した後が、被害軽減力と再発防止力になります。
誌面情報 vol56の他の記事
- 組織の風評被害対策アンケート
- 企業の魅力度が風評に影響する
- 不祥事対応における風評発生メカニズム
- 被害のパターンを見極めることが大切
- 風評マネジメントで観光を立て直す
おすすめ記事
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月16日配信アーカイブ】
【4月16日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:熊本地震におけるBCP
2024/04/16
-
調達先の分散化で製造停止を回避
2018年の西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県倉敷市真備町。オフィス家具を製造するホリグチは真備町内でも高台に立地するため、工場と事務所は無事だった。しかし通信と物流がストップ。事業を続けるため工夫を重ねた。その後、被災経験から保険を見直し、調達先も分散化。おかげで2023年5月には調達先で事故が起き仕入れがストップするも、代替先からの仕入れで解決した。
2024/04/16
-
工場が吹き飛ぶ爆発被害からの再起動
2018年の西日本豪雨で隣接するアルミ工場が爆発し、施設の一部が吹き飛ぶなど壊滅的な被害を受けた川上鉄工所。新たな設備の調達に苦労するも、8カ月後に工場の再稼働を果たす。その後、BCPの策定に取り組んだ。事業継続で最大の障害は金属の加温設備。浸水したら工場はストップする。同社は対策に動き出している。
2024/04/15
-
動きやすい対策本部のディテールを随所に
1971年にから、、50年以上にわたり首都圏の流通を支えてきた東京流通センター。物流の要としての機能だけではなく、オフィスビルやイベントホールも備える。2017年、2023年には免震装置を導入した最新の物流ビルを竣工。同社は防災対策だけではなく、BCMにも力を入れている。
2024/04/12
-
民間企業の強みを発揮し3日でアプリ開発
1月7日、SAPジャパンに能登半島地震の災害支援の依頼が届いた。石川県庁が避難所の状況を把握するため、最前線で活動していた自衛隊やDMAT(災害派遣医療チーム)の持つ避難所データを統合する依頼だった。状況が切迫するなか、同社は3日でアプリケーションを開発した。
2024/04/11
-
-
組織ごとにバラバラなフォーマットを統一
1月3日、サイボウズの災害支援チームリーダーである柴田哲史氏のもとに、内閣府特命担当の自見英子大臣から連絡が入った。能登半島地震で被害を受けた石川県庁へのIT支援要請だった。同社は自衛隊が集めた孤立集落や避難所の情報を集約・整理し、効率的な物資輸送をサポートするシステムを提供。避難者を支援する介護支援者の管理にも力を貸した。
2024/04/10
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月9日配信アーカイブ】
【4月9日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:安全配慮義務
2024/04/09
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方