2016/09/29
誌面情報 vol56
国内の東証一部企業と外資系企業の約3000社にアンケートを送り、392 社から回答を得ました。それを先ほどの5つの力でスコア化すると日本企業で非常に足りないのは予見力だとわかります。予見力だけが低く、他はすべていいスコアだった企業もありました。
実際の予見力は10 項目を数値化したもので、ソーシャルメディア上の評判・風評を把握する仕組みを導入している企業は19.9パーセント。まだまだ早めに押さえようとする会社は少ないという現状です。調査では企業へのアンケート以外に、177 人の報道関係者にも28の危機管理事象を尋ね、メディア側の関心度と企業側の関心度を比較しました。メディアの回答はウェブメディアや新聞、テレビ、雑誌などの記者や編集者などから得たものです。メディアが高い関心をもつ項目と企業の認識、関心が高い項目にやはり差があります。メディアと企業の意識のギャップがここに出ています。メディアは社会的インパクトが高い事象に関心が非常に高く、企業はどちらかといえば法令順守できていればという、コンプライアンス的な事象を重視しています。こういうギャップを押さえながら、やはり予見力につなげていかないといけないということです。企業にとってソーシャル上でリスクの芽があったときに、そのリスク事象に社会的インパクトがどれだけあるかを予見できるかどうかが大事になってきます。
ソーシャルメディアの危機管理に課題
ソーシャルメディアの動きを見ると、まずスマホとタブレット、携帯を含めた接触時間が5年で3倍以上になっています。20 代から40 代のSNSの利用率は90%から70%と非常に高い利用率です。10 年、20 年後にはほぼ100%がSNSを使う時代になると予想されます。そして、個と個が即物的にネットワークを通してつながると、伝達スピードが速くなります。
企業のソーシャルメディア危機管理対策の実施率を見ると、ソーシャルメディア上の評判、風評を把握する仕組みがあると答えたのが19.9%。従業員に対して危機管理に関する啓発活動を行っているのが60.2%。ソーシャルメディアの運用ガイドラインを整備しているのが33.4%。緊急発生時に自社サイトやSNS 等を通じて迅速に情報を提供する仕組みを整備しているのが38.0%。ネット上には過去のログがずっと残るので、過去に起きた危機を把握することも大切。ですが自社で発生した危機について、ウェブメディア上での過去の評判を把握しているのは14.5%です。ちょっと低い数字だと思っています。ソーシャルメディア上の危機管理というのは、まだまだ課題が多いということです。
誌面情報 vol56の他の記事
- 組織の風評被害対策アンケート
- 企業の魅力度が風評に影響する
- 不祥事対応における風評発生メカニズム
- 被害のパターンを見極めることが大切
- 風評マネジメントで観光を立て直す
おすすめ記事
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月23日配信アーカイブ】
【4月23日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:南海トラフ地震臨時情報を想定した訓練手法
2024/04/23
-
-
-
2023年防災・BCP・リスクマネジメント事例集【永久保存版】
リスク対策.comは、PDF媒体「月刊BCPリーダーズ」2023年1月号~12月号に掲載した企業事例記事を抜粋し、テーマ別にまとめました。合計16社の取り組みを読むことができます。さまざまな業種・規模の企業事例は、防災・BCP、リスクマネジメントの実践イメージをつかむうえで有効。自社の学びや振り返り、改善にお役立てください。
2024/04/22
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月16日配信アーカイブ】
【4月16日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:熊本地震におけるBCP
2024/04/16
-
調達先の分散化で製造停止を回避
2018年の西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県倉敷市真備町。オフィス家具を製造するホリグチは真備町内でも高台に立地するため、工場と事務所は無事だった。しかし通信と物流がストップ。事業を続けるため工夫を重ねた。その後、被災経験から保険を見直し、調達先も分散化。おかげで2023年5月には調達先で事故が起き仕入れがストップするも、代替先からの仕入れで解決した。
2024/04/16
-
工場が吹き飛ぶ爆発被害からの再起動
2018年の西日本豪雨で隣接するアルミ工場が爆発し、施設の一部が吹き飛ぶなど壊滅的な被害を受けた川上鉄工所。新たな設備の調達に苦労するも、8カ月後に工場の再稼働を果たす。その後、BCPの策定に取り組んだ。事業継続で最大の障害は金属の加温設備。浸水したら工場はストップする。同社は対策に動き出している。
2024/04/15
-
動きやすい対策本部のディテールを随所に
1971年にから、、50年以上にわたり首都圏の流通を支えてきた東京流通センター。物流の要としての機能だけではなく、オフィスビルやイベントホールも備える。2017年、2023年には免震装置を導入した最新の物流ビルを竣工。同社は防災対策だけではなく、BCMにも力を入れている。
2024/04/12
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方