まずはモニタリングと事実確認

ではどう対策したらいいのでしょうか。早期に風評をモニタリングできる仕組みをつくる。そして、ネット風評を見つけたら事実確認が大切です。単なる風評なのか事実にもとづいた風評なのか、情報源を把握することが大事になってきます。事実を把握した上で、静観するという方法もあります。積極対応するというやり方もありますが、まずは静観してみる。ネット上でモニタリングをしながら、次にどのように展開するのか、マスメディアに取り上げられる可能性があるのかを確認する。積極的に対応したほうがいいなら、情報開示の先手を打って意思表示することもあるでしょう。そして削除要求の検討、あるいは法的措置を取るということも考えられます。予見では社会的にインパクトを与えるメディアに取り上げられるかどうかがポイントになってきます。

風評被害に強い会社になるために、ソーシャルメディア発の風評の動きを早期に察知できる体制が重要です。モニタリングをしながら、どのようなネットリスクが自社にはありえるのかを洗い出し、マニュアル化する、そして実際にシミュレーショントレーニングを実施する。このサイクルを回すと、平時からレピュテーションのマネジメントができていくと思います。
 

企業の魅力度が風評に影響する

阪井 完二氏

 

企業の魅力度が風評に与える影響について話します。総務省のデータを見るとLINEをはじめ様々なソーシャルメディア、ソーシャルネットワーキングサービスのプラットフォームが非常に高い率で利用されています。最近よく見るのが、ちょっときれいな景色や美味しい料理をすぐに写真に撮る光景です。この状況を我々は「1 億総ジャーナリスト社会」と呼んでいます。

今年一番伸びているプラットフォームがInstagramです。急上昇しています。もはやノンワードの写真だけでコミュニケーションする時代になってきています。Facebook、Twitterはもちろんです。あらゆる人がカメラやスマホを片手に事象を切り取って評価をしていく時代です。こういう時代に企業はどのような対応をしていけばいいのか。

2014 年2月の大雪で閉ざされた中央自動車道、談合坂サービスエリアに居合わせたヤマザキパンがパンを配給している。素晴らしい神対応だったので、たまたま居合わせた人たちが写真を撮ってSNSにあげて、テレビのニュースで流れて評価されました。まさに1億総ジャーナリスト時代です。

一方、こういう話も出てきます。まるか食品のぺヤングにゴキブリ混入が発覚した事件では、会社の最初の行動は早かった。大学生がTwitterにあげると、翌朝には謝りに行っている。すごく早い対応だと思います。けれども会ったときの話で大学生がかちんときた。昔であれば直接会って「穏便にすませましょう」という対応は正解だったと思います。しかし、今の時代、Twitterにいきなり報告する相手への対応としてはちょっと違ったのかもしれない。昔と今では、情報環境が違うことを意識していただいて行動しなくてはいけない。