セコム株式会社(本社:東京都渋谷区)は31日、高精度な3次元立体地図によるセキュリティプランニングシステム「セコム3Dセキュリティプランニング」を開発し、9月から本格的に販売を開始すると発表した。これに先立ち、2016年5月26日~27日に開催された伊勢志摩サミットでは三重県警察本部が警備計画立案に同システムを活用し、その有効性が実証された。

基盤技術の研究を行うセコムIS研究所が取り組むBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)技術と、セコムグループの航空測量最大手の株式会社パスコ(本社:東京都目黒区)の空間情報技術を活用し、融合して開発したもの。

使用する3次元地図は、パスコがセスナやヘリ、衛星、ドローンで航空撮影した実際の画像に加え、計測特殊車両などによる現地の正確な測量を元に、どの地点でも緯度・経度・高度が把握でき、上空・地上のあらゆる角度から視点を変えモニター上で目視できる。そのため、VIPの車列の想定ルートに沿って視線を移動したり、警備員を配置した場所の周囲の様子を確認したり、警備上の重要ポイントを的確・正確に判断し確認ができるようになる。

監視カメラが現場の状況を画像で把握する上で不可欠となっている、建物や沿道などに設置した場合の監視範囲や、特定の監視カメラからの景色がどう見えるか、どこが死角かがすぐに分かる。監視カメラ配置後には、ある地点を指定すると、その位置を確認できる監視カメラがどれかすぐに分かる。

警備用の飛行船やドローンなどを飛行させた場合に、それらから警備対象エリアや建物がどのように見えるか、屋上などの狙撃可能性地点、無線が通るかどうか、無線を遮るものがあるかどうかを自動的に分析し、3次元地図上に脅威地点を表示するなど、事前にシミュレーションができる。

建物の図面があれば、新築で建つ前の建物もコンピュータ上に仮想で建てておき、実際の建物と同様にリスク分析ができ、事前に監視カメラの設置位置のシミュレーションが可能となる。

この3Dセキュリティプランニングに建物内の注意情報やテナント情報をひもづけておくことで、警備スタッフの緊急対処時の誘導や情報提供を行うこともできる。実際の警備エリアに足を運ぶ前の警備計画の立案が大幅に効率化できるとともに、多面的・立体的なリスク分析により漏れのない高度なセキュリティプランニングが可能となる。

同社は今後、広い空間や敷地を持つ競技施設や公共施設、比較的規模の大きい建物や商業施設などへ、セキュリティシステムや常駐警備、監視カメラ、ドローン、飛行船、ドローン検知システムを利用したセキュリティプランニングの提供を進めるとともに、高次元のセキュリティニーズがある国・地方自治体など関係機関での導入によって、本格的な運用を目指す。

(了)