アディーレ法律事務所 弁護士/岩沙好幸

アスベスト問題に対して、今我々にできることは、アスベストの危険性などを再認識して、飛散を防止するために何ができるか真剣に考えること。これが企業防衛にもつながります。これ以上の健康被害を防止し、企業の責任が問われないためのポイントをご紹介いたします。

アスベストに関する法令

まず、アスベストに関する主な法令について説明します。昭和35年に制定されたのがじん肺法です。じん肺は粉じんが引き起こす肺の病気で咳や痰、息切れ、呼吸困難などの症状が現れます。じん肺法では健康診断の実施とその結果に応じて業務上の適切な処置をとるように定めています。曝される粉じんの低減や粉じんに関係ない他部署への配置転換などが含まれます。

続いて昭和46年に労働安全衛生法が制定され、労働者に重度の健康障害を生ずる物質を政令で決めました。アスベストも含まれました。この法律で研究目的以外のアスベストの製造、輸入、提供または使用を禁止しています。

そして、非常に重要なのが石綿障害予防規則です。労働安全衛生法の規定に基づいて定めたもので予防規則の1条に事業者、企業の責任が書いてあります。企業はアスベストによる肺がんや中皮腫を予防するために作業方法の改善や関係施設の改善など必要な措置を講じて、アスベストによる曝露を最小限にしなければならない。これが予防規則の1条です。

事業者が建築物の解体作業を行う場合にアスベストの使用の有無を調査してその結果を記録しなければならない。そして、この結果を掲示しなければならない。また、作業計画にアスベストの粉じん発生を予防する方法を定めなければならない。ほかにも作業場所の隔離や集じん、排気装置等を設けなければならない。屋内作業場の場合には局所排気装置、またはプッシュプル型換気装置を設けなければならないというのが定められています。

また、アスベスト切断等作業を行う時には浸潤な状態にしなければなりません。労働者に呼吸用保護具を使用させるなどがこの予防規則には書かれています。事業者はこの規則に従わなければなりません。