現在、同社のBCPは、震度6弱以上の地震とパンデミックを想定している。また、どのような災害時でも個人ベースで生き残ることをグループの方針として掲げ、社員全員にサバイバルカードを配付している。

訓練が功を奏した熊本地震

今年4月に起きた熊本地震では、SCREENグループのうち、震源地の益城町に2月に完成したばかりのスクリーン熊本と熊本市にあるSEBACSの2社が被災した。いずれも従業員20人ほどの規模で、スクリーン熊本はまだ本格稼働する前だったが、SEBACSは半導体製造装置の販売・メンテナンスなどを手がける会社で、熊本では取引先が多く、現地と本社ではそれぞれただちに対策本部を立ち上げ対応にあたった。

前震とされる4月14日の地震の翌日には、先遣隊を現地に派遣するとともに、1回目の支援物資を現地に送った。本震後は現地のニーズに応じてグループ会社からは延べ70人ほどの応援部隊が現地に駆けつけ復旧にあたり、支援物資も計8回にわたり送り届けた。「東日本大震災以降備えていたことで、自社で備蓄しているものなどをすぐに送れることができた」(西原氏)。

指揮系統も明確だった。有事対応を考えていたことに加え「昨年、経営層も巻き込み、京都本社が被災したことを想定した訓練を行っていたことで、現地と本社、そしてグループ会社が連携してスムーズにあたることができた」(同)という。

 

労働安全衛生も環境も可視化

労働安全衛生の取り組みとしては、発生した労働災害を重大性(休業日数と障害等級)に応じた指標として管理し、それをグラフ化することで災害の発生傾向を共有化し、早期に対策にあたれるようにしている。「経営による安全巡視」も年に1回実施。仮に緊急事態が発生するようなことがあれば、回数を増やし再発防止を徹底するという。その他、事故分析のレベルアップセミナーを開催したり、事業所ごとの訓練も強化している。特に半導体部門では危険に伴う作業が多いことから、産業ロボットにかかわる事故や、薬品混触、感電など、現場で発生し得る事故を分析した上で、体感型の訓練に力を入れているという。