パイオニア株式会社(本社:東京都文京区)は16日、防災・減災に取り組む公共機関をはじめとするさまざまな団体・企業向けに「通行実績データ」の提供を開始すると発表した。実際に車両が通行したルートを判別できるもので、これまでに大きな災害発生時のみ警察庁やNPO法人ITS-Japanに提供していた。今後はより多くの団体などに提供することで、災害の際、刻々と状況が変化する道路状況の中、通行可能なルートの迅速な把握をサポートする。

提供するのは、日本全国の道路の1時間ごとの通行実績データ。防災・減災、復旧・復興を使用目的とする限り、災害時・平常時を問わずデータ提供をする。交通規制や渋滞状況を表示する地図サービスに簡単に重ねて表示することも可能だ。利用金額は、年額5万円(税別)から。

車のIT化が進む中、同社では業界に先駆けてカーナビゲーションシステムの情報端末化に着手し、2006年にプローブデータ※1を活用した独自のネットワークシステム『スマートループ※2』を立ち上げ、カーナビゲーションシステム搭載車間で精度の高い渋滞情報を共有できる「スマートループ渋滞情報TM」などのサービスを提供している。また、事故低減を目的に、車載機から収集した走行履歴データなどを分析し、ドライバーが急ブレーキを踏んだと思われる地点をヒヤリハット※3につながる「急減速多発地点データ」として蓄積していて、カロッツェリア「サイバーナビ」に収録しているほか、公共機関や企業向けにも提供している。

※1 自動車が走行した位置や車速などの情報から生成された道路交通情報。プローブ交通情報とも呼ばれる。

※2 自動車のさまざまな走行データを、通信機能を搭載したカーナビゲーション経由で専用サーバーに収集し、集積された情報をネットワーク経由でユーザー同士が共有するパイオニア独自のネットワークシステム。国内市販向けカーエレクトロニクス製品のブランドであるカロッツェリアの「サイバーナビ」や「楽ナビ」などに採用。

※3 事故には至らなかったものの飛び出しなどの突発的な事象や運転中の判断ミスに「ヒヤリ」としたり、「ハッ」としたりする事例。交通以外にも工事現場や医療現場などで広く使われている。

(了)