2011 年ものづくり白書が指摘

2011 年ものづくり白書では、 東日本大震災で、東北・関東地方の 企業が被災したことにより、国内外 のサプライチェーンが大きな影響を 受けたことについて、日本のサプラ イチェーン構造は、取引先が各段階 でそれぞれ複数の調達先から部素材 を購入し代替可能性が確保された 「ピラミッド構造」ではなく、二次 取引先以下で部素材の供給が一部の 事業者に集中する「ダイヤモンド構造」 になっていると指摘している (図 1) 。

経済産業省が 2011 年2月に行ったアンケートでは、約5割の企業 が、調達する部材の中で現在の調達 先以外に代替できないものがあると 回答し、対策の難しさを浮き彫りに した。

このアンケートは、東日本大震災の発生直前に行われたものだが、5 年前と比べたサプライチェーンが途 絶するリスクについては、 「自然災 害リスク」との回答が最も多く、さ らに「カントリーリスク」の高まりが著しい(図2) 。図らずも東日本大震災、続くタイの大洪水では、これらのリスクが顕在化することになったわけだ。

一方、サプライチェーン途絶リスクに対する取り組みは「取り組んで いるが不十分である」 「取り組みが 進んでいない」との回答の合計が約 95%と極めて高く、リスク自体は 認識しているものの、具体的に取り 組みに十分反映できている企業がわ ずかであることを裏付けた。

重要な部素材のサプライチェーン 途絶リスク低減に向けて検討・導入している方策については、自社製品については 「在庫の増加 (備蓄) 」 「生産拠点の分散化」が多く、調達品に関しては「調達先の多様化(二社購 買) が圧倒的に高い 」(図3) 。ただ、東日本大震災やタイの洪水で、多くの影響が発生したことは、白書が指摘した通り、二社購買により直接の取引先は複数化できていても二次取 引先以下で部素材の供給が一部の事業者に集中する「ダイヤモンド構造」になっていたことを裏付けた。