25日、調査結果の発表を行ったトーマツの奥村裕司・企業リスク研究所所長(左)と茂木寿ディレクター

トーマツでリスクマネジメントなどの調査・研究を行っているデロイト トーマツ 企業リスク研究所は25日、「企業のリスク・クライシスマネジメント実態調査」2016年版の結果を公表した。回答したのは日本の上場企業435社。最も優先すべきリスク・クライシスは国内では地震など災害、海外は法令順守違反が最多だった。

これまでは危険性を示す「リスク」と危機を示す「クライシス」について別に調査を行っていたが、今回から統合。国内と海外拠点についてそれぞれ設問を設けた。

最も優先して着手が必要と思われるリスク・クライシスについては日本国内では「地震・風水害等、災害の発生」が37.0%で最多。次いで「法令順守違反」25.3%、「情報漏えい」22.8%。災害は東日本大震災のあった2011年以来のトップ回答で、熊本地震などが影響したとみられる。

海外拠点では「法令順守違反」が18.2%。次いで「地震・風水害等、災害の発生」「国際紛争、テロ等の発生」がそれぞれ16.2%。法令がよく変わるアジアを中心とした新興国に進出している企業が多いため、法令順守違反が多く回答されたもよう。

また海外拠点・子会社が2015~16年に経験したクライシスの分類と発生地域では、9種類のうち「自然災害・紛争・テロ関連」「法律・規制関連」「システム関連」など6種類で東南アジアがトップ。水害やテロなどが多発したことや、法令の変更が多いこと、通信のインフラが貧弱なことなどが要因。

リスク・クライシスマネジメントプランの策定状況は国内本社が「実施している」50.3%、「一部実施している」27.1%、国内子会社がそれぞれ30.6%、28.3%に対し、海外統括拠点で11.0%、9.4%、海外子会社で13.8%、23.9%にとどまっている。

(了)