展示会の喪失は商機の喪失であるとして、展示場の確保を訴える石積会長(左)と秋元議員

日本展示会協会(日展協)は26日、東京・千代田区の大手町サンケイプラザで「2020年オリンピック展示場問題」と題した記者会見を開催。東京オリンピック・パラリンピックのメディアセンターとして使用されるため2019年4月~20年11月まで、江東区の東京ビッグサイトの大部分で展示会が開けない問題について説明を行った。東京都や政府、オリパラ大会組織委員会、千葉県や神奈川県など周辺自治体に代替施設確保などを訴える方針。

ビッグサイトは約8万㎡の広さで、2019年7月にはさらに2万㎡の拡張棟も竣工する。しかし同年の4月から6万6000㎡が、2020年4~10月は11万6000㎡全てが使用不可能となる。同年11月も6万6000㎡が使用不可。

都はビッグサイトから1.5km離れたりんかい線・東京テレポート駅近くに2万2000㎡の仮設展示場を整備予定だが、それでも2020年4~10月はビッグサイトの全面積の24%しか展示に使えないことになる。

防災やサイバー、危機管理の展示会も多く開かれているビッグサイトでは、例年約5万社が出展。2020年4~10月の展示面積が通常の4分の1になる期間だけでも、日展協では単純計算で約3万8000社が出展できなくなり、約1兆2000億円の売上を失うとしている。また電気工事や警備など展示会支援企業約1000社は約1300億円の売上減の見込み。

日展協ではビッグサイトと同規模の8万㎡の仮設展示場の首都圏での建設、もしくはビッグサイト以外でのメディアセンター設置を要望。仮設展示場であれば築地市場跡地や羽田空港近辺、横浜・みなとみらい地区など、メディアセンターの変更ならビッグサイト北の広域防災公園や、築地からの移転が延期になっている豊洲新市場の建物の利用を提案している。日展協は20日に小池百合子都知事あてに8万1143件の署名を提出。今後、安倍晋三首相や丸川珠代・五輪担当相、森喜朗・大会組織委員会会長などにも提出予定。

日展協の石積忠夫会長は、「出展企業の多くは中小企業で、営業や情報収集の重要な機会となる展示会の場を奪われると、倒産しかねない」と危機感をあらわにした。また自由民主党・展示会産業議員連盟の幹事で、江東区を選挙区とする秋元司・衆院議員も「日本の展示会場はそもそも35万㎡しかなく、671万㎡の米国や341万㎡のドイツなどと比べ少ない。仮設でもいいからさらなる代替施設確保を目指す」と述べた。

(了)