一橋大学経済研究所 小林慶一郎教授

超インフレ時代の到来
2020 ∼ 2030 年に日本は破綻する

前号では、国内外の経済学者が、日本の財政予測についてどのようなシナリオを描いているかについて紹介 した。今号では、財政破たんになった際、日本はどのような状況になるのか、これを避けるために何が必要なのかを、引き続き小林教授の講演から紹介する。

■税収減で物価は上がる
日本の財政予測について、さまざまなシナリオを 紹介しましたが、概して消費税率 30%程度という 非常に大きな税率が必要とされているということです。増税をしないとすれば、それに見合うぐらいの歳出のカットが必要になるのですが、それもできないとなると財政破綻という現象が 10 年後ぐらいに起きることになります。  

財政破綻が起きた時はインフレになります。その理由は、政府のバランスシートを考えてみればわかります。  
最近の経済学界で広く支持を得ている「物価水準の財政理論」によると、物価水準(貨幣の価値)はその貨幣を発行する国の財政の健全性によって決まると言えます。  

簡単なモデルで説明すると、下図のような式で表すことができます。  

まず、右の D は、政府の借金、つまり国債と貨幣(日本銀行の債務)を足した債務の合計額になります。  一方、政府の資産は何かというと将来の税収にな るわけです。そこで日本政府の将来の実質的な価値 を s として、物価水準を P とすると、左辺の P × s は将来税収の名目価値ということになります。この式で、左辺を政府の資産、右辺を政府の負債、と読めば、政府のバランスシートの式そのものと見ることができます。  

国債暴落は「将来の税収が、いままでの予想額 (s)よりも小さくなる」と市場が認識することで起 きます。例えば市場が突然、 「財政余剰が s ではな く、半分の s/2 になる」と気づいたとき、物価水準 P′ P′ は s/2 = D となるので P′ 2P、つまり物価 = 水準が 2 倍になるのです。

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