来週発表されるトランプ大統領令により、日本人の米国への入国審査が厳しくなる可能性もある(Photo by PhotoAC)

デロイト トーマツ 企業リスク研究所は24日、2017年2月分の海外リスクを紹介した。同研究所主席研究員の茂木寿氏は、「7カ国の入国制限に続いて、来週新しい大統領令が発表される。一時的に日本人の入国審査が厳しくなり、日系企業が現地で混乱する可能性もある」とする。

茂木氏は大統領令による企業への影響を軽減するためのポイントを挙げた。主なものは以下の通り。

①大統領令13769号で対象となっている7カ国への渡航歴がある従業員について、米国への出張や赴任対象から外すなど、当該従業員を米国への渡航時や入国時のトラブルから守る対策は整備されているか。

②米国への入国審査がこれまで以上に厳しくなる恐れがあるため、入国審査官による審査の厳格化について、実際に渡航した従業員が得た情報を組織内に共有する仕組みはできているか。

③米国のさまざまなリスク情報に対し、米国内の拠点のほか他国に所在するグループ企業に情報を共有する仕組みはできているか。

④事務所や工場において、暴徒化したデモ参加者による襲撃や放火への備えはできているか。金品、商品、危険物は厳重に保管できているか。

⑤暴動やテロなどの情報を日本本社に報告するための方法を構築しているか。トランシーバーや無線などの携帯電話以外の通信手段を確保し、使用可能な状態としているか。

⑥施設や機械が損壊した場合のBCP(事業継続計画)を構築しているか。

⑦海外拠点における危機事案を想定した訓練を実施しているか。日本と米国の拠点の危機対応における役割・責任を定義しているか。
記者に解説する茂木氏

「米国で何か問題が発生した場合、現地できちんとメディアに広報対応することも重要。以前、外国のメディアに対し「日本の本社に聞いてくれ」という対応をとって非常にイメージが悪くなったケースがある。現地のことは現地で対応する体制を作る必要がある」(同氏)

茂木氏はそのほかにも、「日本における残業時間の上限を月平均60時間以内に規制」「中国北京市において大気汚染の赤色警報が発令」を2月のリスクに挙げた。

(了)