2017/05/12
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』
川では大人も命を守り方を知らない!?
2015年度の河川での死者行方不明数は235人です。そのうち23人が中学生以下のこどもです。大人だけで212人も亡くなっているのです。大人のほうが9倍多いのです。大人が正しい川でのふるまいを知らないし、知らないから継承できていない事の現れだと思います。
常識を変えてください。ライフジャケットが必須です。
では海ではどうでしょうか?こどもの水辺の事故は50%近くが川であるのに対し、大人になると海が50%以上になります。
原因となった行為では、こどもは水遊び中が最多ですが、大人は魚釣り(または魚とり)が最多となります。
川と同じくこどもよりも大人のほうが命を落としているので、油断すべきではないでしょう。
海の場合、独特の海流による事故があります。リップカレントと呼ばれる離岸流での事故です。岸から沖にむかって流れる海水流で、秒速2mほどの速さがあります。波が海岸に対して直角に起きる場所であったり、人工物の形状によって離岸流の発生しやすい地形があります。
1秒間に2mもすすむのですから、流されたと思った時に岸に向かおうとしても、オリンピック選手でぎりぎり岸にいけるかどうかという速さです。泳ぎに自信があるレベルでは、流れから抜け出せません。岸と平行に泳ぎ、まず離岸流の流れから脱出することが必要です。
離岸流を利用して沖にでるサーファーにとって、離岸流は常識です。サーファーがいれば離岸流が発生しやすい場所である可能性が高いと、離岸流の目安になっているくらいです。でも、海遊びを知らない人は、平行に泳ぐことを知らない方もいるように思います。
岸と平行に泳ぐ時であっても、体力をつかうので、ライフジャケットなどの浮力はおすすめです。
海で事故があった場合、遊泳禁止場所であったかどうかばかりが報道されます。それは重要ではありません。日本中、禁止かどうか、張り紙してまわらなければいけなくなります。原因が離岸流だったのか、ライフジャケットを装着していたか、対策としてできた事は何か、それを報道してほしいと思います。
ところで、海でも川でも泳げない子をゴムボートなどに乗せている親子もみかけますが、泳げたとしてもライフジャケットなしでボートに乗るのはやめてください。
シーカヤックでもリバーカヌーでも、ライフジャケットをつけていますよね。転覆は想定外ではないからです。特に川では、生身の体が沈む場所でも、ボートに乗っている限り、楽しい流れにしか感じません。でも、落ちたら沈みます。
昔、湖などのレンタルボートでライフジャケットつけていなかったけど・・という方、昔の事は忘れてください。安全対策に無知な時代の産物です。「ボートにはライフジャケット」。こっちが常識です。
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