小池知事は挑戦を強調したグランドデザインの説明を行った

東京都の小池百合子知事は19日、2040年代の目指す東京の姿を示した「都市づくりのグランドデザイン」の素案を示した。都市づくりの目標を「活力とゆとりある高度成熟都市」とし、古い街並みを残した木造住宅密集地域の不燃化など災害に強い都市づくりを目指す。パブリックコメントの募集を経て今夏に正式決定する予定。

「災害リスクと環境問題立ち向かう都市の構築」など7つの戦略、「様々な被害を想定し、災害に強い都市をつくる」「電柱のない安全で美しい都市をつくる」「災害時にも都市活動と都民の生活を継続し速やかな復興につなげる」といった30の政策方針、80の取り組みを明示した。

取り組みでは無電柱化のほか、木造住宅密集地域で、東京ならではの古い街並みを生かしながらの不燃化に挑む。難燃化を施した木材壁などを活用し、路地の風情や木造の街並みの良さを壊さない安全性の向上を図る。水害対策では堤防など治水のほか、雨水の流出解析シミュレーションといったICTやビッグデータ活用を行う。

万が一の災害時に備え、防災拠点や防火水槽・消火栓の整備に加え雨水利用などにより水利の確保を行う。容積率緩和といったインセンティブが受けられる都市開発諸制度や都市再生特別地区を活用した開発で、帰宅困難者の退避施設や備蓄倉庫、発電設備やコージェネレーションシステムの設置を促すほか、ネットワーク化でエネルギーの相互融通を進めるなど、バックアップ体制の強化を行う。

復興時のまちづくりの方針をあらかじめ都民と共有。復興まちづくり実務者養成訓練を実施し人材育成を進め、復興の財政支援の仕組みづくりも整備。土地の境界を確定する地籍データや都市計画といった復興に必要なデータの一元管理を目指す。

小池知事は記者会見で「『みどりを守り、まちを守り、人を守る』の観点から、木密地域の解消をスピードアップする」とし、「これまでの延長線上を越えた取り組みも行う」と意欲を語った。都では19日から6月19日までパブリックコメントを募集。さらに「活力とゆとりのある高度成熟都市」に続くサブタイトルも募集する。

■ニュースリリースはこちら
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2017/05/19/03.html

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http://www.risktaisaku.com/articles/-/2876


(了)