2017/06/09
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』
スーツにも使える、アウトドア性能を持つレインウエアたちを紹介します!
まず防水性はレインウエアにとって最も重要な機能です。でも、普通のレインコートは撥水機能だけしかないものが少なくありません。撥水性というのは、生地表面で水を防ぐ性能にすぎません。アウトドアで表示される防水性能は、耐水圧(mm)で測定されます。生地の表から水圧を加えて、裏地まで水が染み出した時の高さを表示しています。例えば、傘の耐水圧は200〜500mmくらいなのですが、GORE-TEX ファブリックス3レイヤーでは4万5000mm以上です。水たまりの上に傘生地を敷いて座ったら水が染みてきますが、GORE-TEXだと、水たまりに座ろうと、雪の上で寝ていようとも、染みてこない、そういう耐水圧があります。
小雨だと500mmあれば防げますが、嵐になるほどの雨では、2万mm以上必要です。登山用をうたうものは2万mm以上を使っている事が多いです。
次に透湿性ですが、透湿性とは、ウエア内の汗などの水蒸気を効率良く放出する機能です。生地が24時間に放出した水分量を計測するので、単位はg/m2・24hrsになります。GORE-TEXは1万3500 g/m2・24hrsあります。孔の大きさが雨や雪よりも小さいけれど、水蒸気分子よりは700倍大きいので、水蒸気は通すのです。通気性とは異なるので、防風性を維持したまま、透湿性を持つことになります。
防寒の記事でも書きましたが、暑さ、寒さを防ぐ知恵は、水と風と空気をコントロールすることとお伝えしました。
「風の強い日にフリースをアウターに着るのは間違い?!水と空気と風をコントロール。アウトドア流着こなし術を身に着けよう!」(2016年10月5日)
http://www.risktaisaku.com/articles/-/2071
衣類に水がつくと、気化熱によって体温が下がります。濡れると3倍の速さで体温は下がります。そうすると低体温症になり命を奪ってしまいます。日常生活では、濡れると死ぬという感覚は理解しにくいかもしれませんが、災害時は低体温症による死亡例もありました。耐水性によって、きちんと水を防ぐ、そして、透湿性によって、内にこもり、蒸れて濡れてくる水蒸気もコントロールする。だから、外からも中からも濡れないし蒸れないのがアウトドアの透湿防水素材のレインウエアは防寒にも最適なのです。さらに、防風性もあります。風速1mで体感温度は1度下がるので、風が吹くだけで梅雨の時期でも寒く感じます。
水と風を防げるアウトドアレインウエアは、雨の際の最強素材というだけでなく、雪対策にも、防寒対策にもなり、年間のうち稼働率の高い防災ウエアになるのです。
また、コンパクトに持ち運べるのも特徴です。
大変コンパクトに収納できます
収納時は縦18cm、横9cm、総重量322gになります
これは、GORE-TEXのメンブレンという薄い膜と、バリスティック エアライトという、極細のバリスティック ナイロン糸を高度な技術で織り上げた素材の表地を組み合わせているからです。
極細のバリスティック®ナイロン糸を高度な技術で織り上げた素材。充分な強度を備えながらも抜群の軽量性と薄さを実現。軽量・コンパクトをコンセプトに開発される製品に幅広く採用している。製品の特性に応じて、ストレッチ性を付加した素材や、優れた透
湿性を備えた素材を使い分けている。
こちらのモンベル製品は、ゴアテックスメンブレンにバリスティック エアライトの表地を貼り、もう片面に摩耗性に優れた特殊な微粒子を固着させるパックライト プロダクト テクノロジーという技術を使っているので、軽量でコンパクトになったのです。
18cm×9cmに収納でき、重さも322gですので、かさ張りません。
高性能とコスパのよさが魅力の製品です。
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』の他の記事
おすすめ記事
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月23日配信アーカイブ】
【4月23日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:南海トラフ地震臨時情報を想定した訓練手法
2024/04/23
-
-
-
2023年防災・BCP・リスクマネジメント事例集【永久保存版】
リスク対策.comは、PDF媒体「月刊BCPリーダーズ」2023年1月号~12月号に掲載した企業事例記事を抜粋し、テーマ別にまとめました。合計16社の取り組みを読むことができます。さまざまな業種・規模の企業事例は、防災・BCP、リスクマネジメントの実践イメージをつかむうえで有効。自社の学びや振り返り、改善にお役立てください。
2024/04/22
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月16日配信アーカイブ】
【4月16日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:熊本地震におけるBCP
2024/04/16
-
調達先の分散化で製造停止を回避
2018年の西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県倉敷市真備町。オフィス家具を製造するホリグチは真備町内でも高台に立地するため、工場と事務所は無事だった。しかし通信と物流がストップ。事業を続けるため工夫を重ねた。その後、被災経験から保険を見直し、調達先も分散化。おかげで2023年5月には調達先で事故が起き仕入れがストップするも、代替先からの仕入れで解決した。
2024/04/16
-
工場が吹き飛ぶ爆発被害からの再起動
2018年の西日本豪雨で隣接するアルミ工場が爆発し、施設の一部が吹き飛ぶなど壊滅的な被害を受けた川上鉄工所。新たな設備の調達に苦労するも、8カ月後に工場の再稼働を果たす。その後、BCPの策定に取り組んだ。事業継続で最大の障害は金属の加温設備。浸水したら工場はストップする。同社は対策に動き出している。
2024/04/15
-
動きやすい対策本部のディテールを随所に
1971年にから、、50年以上にわたり首都圏の流通を支えてきた東京流通センター。物流の要としての機能だけではなく、オフィスビルやイベントホールも備える。2017年、2023年には免震装置を導入した最新の物流ビルを竣工。同社は防災対策だけではなく、BCMにも力を入れている。
2024/04/12
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方