大西・熊本市町は被災経験を伝えることの重要性を訴えた

消防庁は7日、今年度「全国防災・危機管理トップセミナー」を東京・千代田区の全国都市会館で開催。225市から市長が参加。消防庁からは3月に通達した62項目の自治体向け「防災・危機管理セルフチェック項目」の確認や消防団の充実強化、Jアラートの運用について説明が行われた。また2016年の熊本地震で被害を受けた熊本市の大西一史市長による講演が行われた。

消防庁からは市町村長が災害体制を確立できるよう、BCP(業務継続計画)や受援体制、避難所運営といった62項目のチェックを改めて市長に要請。消防団員については1990年に100万人を割り込み、2016年度調査では85万6278人にとどまっている。学生の加入促進へ大学や専門学校と連携や、消防団活動を行った学生を市町村が実績認定し、就職活動を支援する学生消防団活動認証制度の導入促進、消防団の報酬や装備の改善などが呼びかけられた。大学生に働きかけ、「大学生防災サポーター」として消防団に所属させている愛媛県松山市の事例が紹介された。

Jアラートについては出席した高市早苗・総務大臣も「迅速かつ正確な情報伝達が不可欠。システムなど危機管理に不備がないようにしてほしい」と呼びかけ。ミサイル飛来や緊急地震速報など、いざという時に自治体の登録制メールが届かなかったり防災行政無線が働かなかったりといったことのないよう、IDやパスワードも含めたシステムの点検が必要と指摘した。

大西市長は最大11万人の避難者が出た熊本地震において、指定避難所の体育館が天井部材落下で利用できない、職員も被災し市民からの問い合わせも殺到するなど行政機能の低下、支援物資が全国に届いても避難所に届けられないなど受援体制の不備といった様々な課題を振り返った。またホームページや自らのSNSによる発信、避難所への新聞配達やテレビとWi-Fi設置といった情報の充実に注力したことを明らかにした。

そんな中で2011年の東日本大震災を経験した仙台市や1995年の阪神・淡路大震災を経験した兵庫県の記録が大いに役立ったという。全国の自治体職員による応援に感謝を述べたうえで、「2年前、私はこのセミナーで講演を聞く立場だったが、まさか今こうやって講演するとは思ってもいなかった。災害というのは本当に『明日は我が身』だ」と話した。また「経験を伝えるために全国に講演に行く」と経験や教訓を伝える重要性について語った。

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リスク対策.com:斯波 祐介