情報の早さと正確性はトレードオフで、バランスが重要となる

気象庁は28日、長周期地震動に関する情報検討会の「多様なニーズに対応する予測情報検討ワーキンググループ(WG)」第2回会合を開催した。想定される長周期地震動の情報をタイミングによってカテゴリー(C)1~3に分類。C1は気象庁の予報・警報、C2を民間事業者の作成・配信、C3をリアルタイムの観測情報とする。

気象庁は長周期地震動について階級3~4については緊急地震速報に含めて発信する方針を固め、2018年度以降に運用を開始する。長周期地震動は高層ビルごとの立地や階数で与える影響が異なることから、気象庁は階級情報を民間予報事業者に提供。民間事業者が精査したうえで、デベロッパーやビル管理者、テナントといった長周期地震動に関する情報を求める相手に提供できるようにする計画。

この日の会合では長周期地震動の情報をC1~3に分類。C1は階級情報など気象庁の発表情報。C2は民間事業者による揺れの予測で、標準的なビルのほか個別ビルの構造や立地のデータも基に影響を予測。C3は個別ビルのフロアやその地点周辺での観測データ。数字が大きくなるほど情報は精緻だが、情報がわかってから対応が取れる猶予時間は少なくなる。このため、「違うカテゴリーの情報を組み合わせることは重要」といった意見が寄せられた。

また気象庁と防災科学技術研究所が共同で実験を行うことも報告された。実験は2種類。1つは高層ビル関係者を実験参加者とし、気象庁が防災科研に震源データを提供し、ビルの立地や構造を考慮し個別ビルの揺れを予測し実験参加者に伝える。標準的なビルの予測も算出し伝える。

もう1つは、日本地図上にメッシュごとの長周期地震動予測データと防災科研観測点の観測データを重ね合わせてサイトに公開。一般から3000人程度の参加者を募集し、閲覧可能なIDを付与する。参加者にはアンケートに回答してもらう。気象庁と防災科研では早ければ今秋から実験を開始し、2018年度末には終了させる計画。

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介