小田氏はこれまでの自社での取り組みをフェイクニュース問題でも発展して展開させる方針を示した

いわゆる「まとめサイト問題」や米大統領選などで話題となった「フェイクニュース」。情報の真偽を判断することは難しい。イー・ガーディアンではニュースを集めて配信するポータルサイトなどに対し、掲載するニュースの真偽を判断し伝えるサービスを一部開始した。同社営業部マネージャの小田志門氏に聞いた。

Q.フェイクニュースに関する取り組みを聞かせてください。
A.「サイバーパトロール」という事業を当社では行っています。これまで当社は掲示板、就活サイトや質問サイト、グルメサイトにうそや中傷といった書き込みがないか顧客から依頼を受けて行っていました。最近ではポータルサイトやまとめサイト、キュレーションアプリからの依頼が増えてきています。「自社サイトに載せるニュースが真実か」ということです。間違ったニュースを自社サイトで取り上げるリスクを避けようとするサイトが増えていて、当社はこう言った声に対応するためサイバーパトロール業務の延長上としてフェイクニュースに関する業務も一部開始しています。

Q.フェイクニュースかどうかの判断基準はどういったものでしょう。
A.当社では「ソーシャルリスニング」といって顧客の商品やサービスに対する“ネット上の評判”を集めています。商品やサービスに関する情報は、顧客自身が真偽を判断できるため白黒がつけやすい。しかしニュースというのは判断が難しい。判断するには裏を取ることが必要ですが、これが困難です。そこで関連するニュースを集めて検証し、問題があれば分析結果をサイト運営している顧客に伝え、該当ニュースを削除してもらう。そういった流れで進めています。事例を重ねていくことで判断基準をもっとはっきりしたものにしていけるでしょう。

また現状、本当は虚偽のニュースに近いが、企業側で抗議をすると炎上と同様に、逆に火に油を注ぐ可能性もございます。その観点から、企業側が何も対応しない、というケースがあるのも事実です。世の中にフェイクニュースが拡散しないように、企業側の努力だけではなく、海外のように第三者機関のチェックや、プラットフォーム側の対策、弊社のようなネット監視企業がフェイクニュース対策にきちんと取り組んでいくことが重要だと考えております。

Q.いわゆる「まとめサイト問題」では情報の真偽以外に著作権侵害も問題となりました。
A.その問題が発覚して、ニュース・キュレーションサイトから当社への問い合わせが5倍になりました。真偽以外に内容が酷似しているようなニュースがないかといった、著作権に関することも見ていきたいと考えています。

Q.フェイクニュースを見破るための、御社の今後の展開は。
A.現在は1000人弱でサイバーパトロールを行っています。関連するニュースを集め、検証という形を現在はとっていますが、事例がまとまってくると人工知能(AI)による判断もできるようになってくるでしょう。広告収入を狙うため特定の人物を中傷するニュースを流すといった事件も最近ありました。今後も真偽や著作権といった問題ある情報がネット上で増えていくことは間違いありません。判断の正確性を高めスピード化も進めていきます。

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介