大丸有地区のBCDプロジェクト

大手町、丸の内、有楽町の3地区を総称した大丸有地区では、首都直下地震などを想定した災害に強い街づくりが進められている。個別企業のBCP(事業継続計画)複数のビルや屋外空間を一体として地区全体の機能継続を図るDCPと、(District Continuity Plan)の二つを兼ねた事業継続機能基盤地区=BCD(Business Continuity District)が基本コンセプト。個々の企業の事業継続と災害時における都市機能の維持に加えて、帰宅困難者の支援も行おうという意欲的なもの。企業の自助と共助によって公助の役割も補完しようとしている。

これまでのまちづくりの経過 

大丸有地区には東証一部上場企業約80社が集積。売上高は133兆円で東証一部全体の約3割を占める(2011年度末)。首都東京の中核を担う日本で

最も事業継続の途絶を避けなければいけない地域とも言える。しかしながら、東日本大震災発生の直後には、外資系企業が、西日本への避難や一時帰国、あるいは日本からの撤退論がまことしやかになるなどの風評被害も発生し、防災対応力の強化が大きな課題となった。 

まちづくりの推進母体は、約80の地権者で構成する一般社団法人大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会(理事長:三菱地所社長)で、1989年に設立された。国際競争力の維持と、魅力的で競争力の高い都心づくりを地権者が連携して取り組もうとつくられた。 

同協議会は、都心にふさわしいまちづくりを目指した勉強や議論を行うとともに、目的別の検討会を組織して、開発手法や都市基盤の整備、災害対応の検討や広報活動などを行っている。このうち、災害対応は、街づくり検討会の下部組織である安全・安心まちづくり研究会が担当している。