三菱倉庫業務継続性を追求した最新ビル

三菱グループの創始者岩崎弥太郎が明治9年に倉庫業を始めた日本橋に、三菱倉庫の本社兼テナントビル「日本橋ダイヤビルディング」の建設が進行中だ。企業が災害を生き抜けるオフィスを提供する”が基本コンセプト。震災対策、停電対策、浸水対策、断水対策に加えて、防災備蓄スペースも兼ね備えた先進的な防災オフィスビルを紹介する。

耐震性高いビル転居の新ニーズ 
東日本大震災が起きて以降、都内の企業がより耐震性の高いビルへ本社を移す動きが目立つ。中には、関西や福岡といった西日本にまで本社機能を移す会社もある。森ビルが昨年秋に実施した、本社が都内にある1万社を対象にしたオフィスニーズ調査によると、オフィスの賃借を今後予定するのは478社に上った。オフィスビル選びでは、かつては“耐震性の高さ”は最重要ニーズではなかったが、震災直後の調査では初めて3位にランクインした。 

日本橋ダイヤビルディングの建設地は、三菱倉庫の本社屋があった場所でもある。もともと昭和5年に建てられた鉄筋コンクリート造の本社屋(江戸橋倉庫ビル)自然石と曲線は、美を基調とし西洋的な趣が溢れる外観とその文化遺産的な観点から、平成19年に東京都から歴史的建造物に選ばれた。歴史的建造物に選ばれたことで、その外観保存とトランクルーム用途の継承により容積率の緩和を受けている。

 

中間階免震と官公庁並みの耐震


三菱倉庫は、耐震性の高さが求められるデータセンターやオフィス賃貸ビルの開発で40年以上の実績がある。その象徴と言えるのが2005年にリニューアルした東京都中央区新川に所在する東京ダイヤビルディング。

延床面積が12万1000㎡の国内最大級の免震構造ビルも手がけている。 今回建設される日本橋ダイヤビルディングは、完成予想図のように、大まかに低層部と上層部の2層構造をした18階建て。1階から6階の低層部は歴史的建造物の外観を保持、7階以上の中層以上は低層部に配慮し近代的な様相。 

同ビルは、江戸時代に埋め立てられた丸の内や霞が関に比べて地盤が固い日本橋台地の上に建造される。ちなみに東日本大震災時、大手町が震度5強の揺れであったのに対し、日本橋の兜町は震度5弱の揺れ。地下には、東京礫層と呼ばれる頑丈な支持基盤まで約25mの杭が打ち込まれている。 

耐震性能は建築基準法で求める耐震基準の1.5倍。これは特に重要な機能を有する官公庁施設並み。6階以下の低層部分は鉄骨鉄筋コンクリート造と鉄筋コンクリート造(頑丈な構造)、上層部は重さの軽い鉄骨造(柔構造)からなる。中間の6~7階に天然積層ゴムと鉛プラグからなる免震装置を設け、これに揺れ幅を抑制するオイル式と鋼材式の2種のダンパーにより、高層ビルで問題視される長周期振動に対応する。