熊本地震で注目された災害関連死の防止へ避難生活改善を目指す

内閣官房は3日、「ナショナル・レジリエンス(防災・減災)懇談会」の第34回会合を開催。国土強靭化基本計画の見直しについて話し合われた。現行計画の8つの事前目標と45の「起きてはならない最悪の事態」の設定について改訂する方針で、目標には被災者の健康の確保や情報サービス確保、45の最悪事態には雪害や国際的風評被害といった想定をたたき案として示した。

国土強靭化基本計画は5年をめどに見直されており、現計画は2014年6月に決定。次期計画を2019年に決定の場合、今年度には見直し作業を本格化させる必要がある。2016年の熊本地震など近年の災害で得られた教訓を次期計画に生かすため、目標と最悪事態について改訂する方針を示した。

目標では災害関連死を防ぐ観点から、被災者の健康を守り、避難生活環境の改善を目指す。主に発災から仮設住宅入居までの避難生活での適切な医療措置を行うことや、避難所以外でも車中泊、知人宅など広く避難生活を設定し改善を図る。女性や子ども、外国人、LGBT(性的少数者)への配慮も盛り込む見込み。

情報についてはテレビや携帯電話、インターネットといったインフラのほか、SNSなどの民間情報サービスの事業継続を守る。従前よりも強靭な復興として、より安全で被災しにくく、競争力の強い状態にすることを目指す。

最悪の事態では「暴風雪や豪雪等に伴う多数の死傷者の発生」という形でこれまで盛り込んでいなかった雪害を想定。災害時に活用する情報サービスの機能停止で避難行動や救助・支援が遅れる事態や、貴重な文化財や自然環境の喪失、さらには国際的風評被害による失業や倒産といった経済への影響も盛り込む方針。

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介